週末の間中、アリヨマリ外相(MAM)の追放が確実との情報が飛び交う中、日曜夜8時よりサルコジ大統領の全国民に向けたラジオ・テレビ演説が始まった。この演説中にMAMの後任者を含めた改造内閣が公式発表されると誰もが知っていたが、演説の目的は、表向きには「世界情勢と移民問題について」と銘打たれていた。
個人的には、しばらく大統領演説なるものを意図的に見ていない。正直、このムッシュに関しては飽和状態で、彼の話し振りにますます空回り的なものを覚えているから。
でも、今晩は、演説の表向きのテーマと、内閣改造をどう発表するかに興味をそそられ、運よく子どもたちもベッドに送り込めたので、ワイン片手にテレビの前に陣取った。
ラ・マルセイエーズ(国家)のオープニングに引き続き、国旗と書棚をバックに大統領の姿が現れた。いつも落ち着きなく動き回る手や腕を写さないための胸から上のフレーミングか?などと余計なことに気づく。
さて、本題。予想通り、年末より沸騰中の地中海南岸の状況からスピーチは始まり、この喜ばしい民衆の自由への目覚めによりヨーロッパへと移民が大量に流入してはならない、と続いた。そして、「このような新しい世界情勢にきちんと対応するべく、外務大臣としての経験もある有能なアラン・ジュぺAlain Juppé防衛相を新たに外務大臣に任命する」ときた。
そして、驚いたことに、MAMに関しては、その名前にすら触れなかった。MAMの相次ぐ失態が内閣改造につながったという、言及しづらい事柄に対し、本人はうまくかわしたつもりであろうが、なんとも情けないスピーチの持って行き方。
この内閣改造のついでに、アラブ人に対する差別発言で有罪判決を受けているブリス・オルトフBrice Hortefeux 内務大臣も内閣から外れ、サルコジ大統領の特別顧問のポストに移った。
その他、少数の大臣入れ替えを発表し、座礁している地中海連合Union pour la méditerranée*の再生に言及し、どことなくバツの悪さを隠しきれないまま、演説は数分でサクサクと終了したのだった。
*今は遁走したベンアリ&ムバラク元大統領たちを2本柱として、サルコジ大統領が2008年に設立した、欧州と地中海沿岸の国々を集めた連盟。