Saturday, February 2, 2013
Diane35、ピル騒動の中の抗にきび薬スキャンダル
なんか出てきたなぁ、芋づる式に。
このブログでも度々取り上げている避妊用「第3世代ピル」問題(下記リンク参照)。その最中、新たなピル問題が。いや、正確には「避妊用ピル」問題ではなく「ニキビ治療薬」問題なのだけど。
フランス保健製品衛生安全庁(ANSM)によると、バイエル薬品の抗ニキビ薬 Diane 35 が原因と見られる死亡が1987年以降7件記録されていると、ANSMの内密レポートを入手したルフィガロ紙が26日明らかにした。死因は肺栓塞や脳梗塞などの静脈血栓塞栓症。
ANSMはルフィガロ紙の質問に対し「7件中4件は Diane 35 が直接原因である」と認めている。
死亡にまでは至らなくとも、同レポートによると、Diane 35 とそのジェネリック(後発医薬品)による血栓塞栓症発症のケースは2013年1月16日までに113件確認されている。そのうち、68人は後遺症無しに完治、7人は治ったものの後遺症が残り、30人は未だ治療中。
問題は、Diane 35 とそのジェネリック医薬品(Cypropharm, Evepar, Lumalia, Holgyeme, Minerva 35 など)が、本来「抗にきび剤」としての販売許可しか取得していないのに、大半は避妊用ピルの代替として医師により広く処方されていること。よって、そもそも Diane 35 には、第2世代や第3世代という区分はなく、また、避妊薬としての効果についてのデータが存在しない、という状況なのだ。
わかっているのは、この商品の血栓塞栓症のリスク。ルモンド紙によれば、Diane 35 のプロゲステロン(黄体ホルモン)に使用されている酢酸シプロテロンという成分は、服用開始一年以内 に静脈血栓塞栓症の発症リスクを6.68倍に増大させることが2009年のデンマークの研究データにより明らかにされている。これは、第3世代ピルによる血栓塞栓症のリスクと同レベルだという。
この抗ニキビ薬が、避妊薬として広く流用される危険性については、これまで度々国内外で指摘されてきた。
1月24日、第3世代ピルに関する初の提訴(12月半ば)以来、新たに14件の訴えが、ボビニーの大審裁判所にまとめて提出された。訴えられたピルたちは、第3世代では Desobel 20、Desobel 30、 Mercilon、Desogestrel 20、Biogaran、Melodia、Harmonet,、 Gestoden 30、Varnoline、Carlin、Moneva。第4世代では Jasmine、Jasminelle と Yaz。そして、本来抗ニキビ薬の Diane 35。
さらに 27日、ルフィガロ紙が上記ANSMの内部レポートの内容をすっぱ抜いてからは、「Diane 35 による被害の訴えが殺到し、現在 Diane 35 だけでも被害件数は200件。毎日30件ずつ増えている」と、ピル被害者を支える弁護士の一人、フィリップ・クルトワ弁護士は言う(29日付ルポワン誌記事)。
そして 30日、ついに、ANSMは Diane 35 とそのジェネリック医薬品の販売停止を決定したと発表。今後3ヵ月以内にすべての商品を回収するという。
とはいえ、現在 Diane 35 を服用中の女性に対しては、ANSMは医師への相談無しに突然服用を止めないよう呼びかけている。
相次ぐ避妊用ピル騒動を受け、政府は、ピル服用者の不安に答えるべく、ピルに関する無料ホットラインを設置した。
Numéro vert sur les pilules:0800 636 636(月~金9h-20h)
※Diane35は1987年にバイエル薬品から商品化され市場に出回った。世界135カ国で許可され116カ国で販売されている人気の医薬品。
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