パリ郊外のシャヴィルChaville、民間の高級老人ホーム。入居費4万ユーロ(約1年半~2年分)の滞納に業を煮やした施設側が、老女を送り帰すことを決意。
窓口となっている息子の家を目指し、荷物をまとめ看護師をつけてタクシー(情報源によっては民間の救急車)に乗せたが、家は留守。老女は近所の病院の急患受付で降ろされた。
事件発覚後、老人施設側は「軽率であった」と反省、老女に対し謝罪をし、老女を再び受け入れる用意があると語った。
その一方で老女の家族(子どもたち)に対しては辛辣だ。老人施設側いわく、今までに何度となく電話や書留で連絡を取ろうとしたが反応なかった、帰宅の件も日時を連絡している、非常に不誠実な人たちだ、という。
未済の入居費用については、施設の訴えにより、裁判所から息子たちに支払を命じる判決が10月31日に出ているが、実行はされていない。
高齢者・自立担当大臣のミシェル・ドロネー氏は「無防備な人間がひとり、施設責任者の独断により真冬に追放された」「人権と人間の尊厳を侵害する行為」と、老人施設の対応を非難した。
オードセーヌ県庁はこの件に関し地方保健庁(ARS)に調査を依頼。ARSは「いかなる理由があれど、介護の必要な老人がこのような扱いを受けることは許容できない」と声明を出した。
老女は7日、パリ郊外のアントニーの私立病院に「検査」のため引き取られた。この病院では老女のもう一人の息子が産婦人科医として勤務している。
この息子は、ラジオで「連絡もなしに母は荷物と一緒に放り出された。支払いの件で揉めているのは確かだが、老人ホームはこのような行動を取るべきではない」と、老人施設を非難し、母親が老人ホームに戻ることを拒否した。
(情報源多し、AFP記事はこちら)
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さて、この中で一番悪いのはいったい誰?
① 福祉国家を謳いながらも、介護老人政策の遅れから金儲け第一主義の老人施設の蔓延を助長した国。
② 90半ばの老女を荷物とともに真冬に叩き出し、引取り手が留守だからと近くの病院の急患受付に置き去りにした老人ホーム。
③ 施設の入居費を2年近く滞納、裁判所からの支払命令も無視し続け、老いた母親を放ったらかしにした恩知らずな息子たち。
④ 実の息子たちから見捨てられるような育て方をした老女。
どのニュースサイトも、読者コメントの意見が割れに割れて、非常に興味深い一件だった。
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