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Saturday, February 2, 2013

Diane35、ピル騒動の中の抗にきび薬スキャンダル


なんか出てきたなぁ、芋づる式に。
このブログでも度々取り上げている避妊用「第3世代ピル」問題(下記リンク参照)。その最中、新たなピル問題が。いや、正確には「避妊用ピル」問題ではなく「ニキビ治療薬」問題なのだけど。

フランス保健製品衛生安全庁(ANSM)によると、バイエル薬品の抗ニキビ薬 Diane 35 が原因と見られる死亡が1987年以降7件記録されていると、ANSMの内密レポートを入手したルフィガロ紙が26日明らかにした。死因は肺栓塞や脳梗塞などの静脈血栓塞栓症。

ANSMはルフィガロ紙の質問に対し「7件中4件は Diane 35 が直接原因である」と認めている。

死亡にまでは至らなくとも、同レポートによると、Diane 35 とそのジェネリック(後発医薬品)による血栓塞栓症発症のケースは2013年1月16日までに113件確認されている。そのうち、68人は後遺症無しに完治、7人は治ったものの後遺症が残り、30人は未だ治療中。

問題は、Diane 35 とそのジェネリック医薬品(Cypropharm, Evepar, Lumalia, Holgyeme, Minerva 35 など)が、本来「抗にきび剤」としての販売許可しか取得していないのに、大半は避妊用ピルの代替として医師により広く処方されていること。よって、そもそも Diane 35 には、第2世代や第3世代という区分はなく、また、避妊薬としての効果についてのデータが存在しない、という状況なのだ。

わかっているのは、この商品の血栓塞栓症のリスク。ルモンド紙によれば、Diane 35 のプロゲステロン(黄体ホルモン)に使用されている酢酸シプロテロンという成分は、服用開始一年以内 に静脈血栓塞栓症の発症リスクを6.68倍に増大させることが2009年のデンマークの研究データにより明らかにされている。これは、第3世代ピルによる血栓塞栓症のリスクと同レベルだという。

この抗ニキビ薬が、避妊薬として広く流用される危険性については、これまで度々国内外で指摘されてきた。

1月24日、第3世代ピルに関する初の提訴(12月半ば)以来、新たに14件の訴えが、ボビニーの大審裁判所にまとめて提出された。訴えられたピルたちは、第3世代では Desobel  20、Desobel 30、 Mercilon、Desogestrel 20、Biogaran、Melodia、Harmonet,、 Gestoden 30、Varnoline、Carlin、Moneva。第4世代では Jasmine、Jasminelle と Yaz。そして、本来抗ニキビ薬の Diane 35。

さらに 27日、ルフィガロ紙が上記ANSMの内部レポートの内容をすっぱ抜いてからは、「Diane 35 による被害の訴えが殺到し、現在 Diane 35 だけでも被害件数は200件。毎日30件ずつ増えている」と、ピル被害者を支える弁護士の一人、フィリップ・クルトワ弁護士は言う(29日付ルポワン誌記事)。

そして 30日、ついに、ANSMは Diane 35 とそのジェネリック医薬品の販売停止を決定したと発表。今後3ヵ月以内にすべての商品を回収するという。

とはいえ、現在 Diane 35 を服用中の女性に対しては、ANSMは医師への相談無しに突然服用を止めないよう呼びかけている。

相次ぐ避妊用ピル騒動を受け、政府は、ピル服用者の不安に答えるべく、ピルに関する無料ホットラインを設置した。
Numéro vert sur les pilules:0800 636 636(月~金9h-20h)

※Diane35は1987年にバイエル薬品から商品化され市場に出回った。世界135カ国で許可され116カ国で販売されている人気の医薬品。

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Wednesday, January 23, 2013

第3世代ピルは第2世代ピルに勝らない


ピルを常用するフランス女性の半数以上が第3世代ピルを服用している。高等保健衛生機構(HAS, Haute Autorité de Santé)が2007年より発していた勧告にも関わらず。

「2007年、すでに、第2世代ピルに対する第3世代ピルのメリットは充分とは言えないので、最初から第3世代ピルを選んで処方することは推奨できなかった」と、HASのジャンリュック・アルソー教授は振り返る。

2011年末、第3世代ピルによる血栓塞栓症や動脈硬化症の発生率が、稀だとはいえ(1万人中2人)第2世代ピルに比べ2倍であるという事実が、デンマークの広範な研究結果により確認されている。

これを受け、HASは第3世代ピルの「医療上の有用性」基準(Service Medical Rendu)を下方修正したのだった。すなわち、現在マリソル・トゥーレーヌ厚生大臣が目標とする「第3世代ピルは例外的にしか処方しない」という方針は、以前から指摘され、医師たちには伝わっていた訳だ。

ではなぜ、HASの勧告は無視され、第3世代ピルがこれほど大量に処方される結果となったのか?

「はっきり言ってしまえば、第3世代ピルを販売する製薬会社のセールストークがうまかったのね」とトゥーレーヌ氏は言う。さらに「2009年に前政権が第3世代ピルの払い戻しを承認しちゃったでしょ。だから余計、医師やピル服用者に警告のメッセージが伝わりにくかったのね」と、ついでに右派の前任者たちを叩く。

HASのアルソー教授は「第3世代というからには第2世代よりも良い、と誤って認識されてしまったのでしょう。医師の中でも特に専門医が『新製品』というふれこみに惹かれてしまった感がある」と分析する。実際、第3世代ピルの処方者は、婦人科医54.2%、一般科医44.7%だ。

アルソー教授はまた「これだけメディアで話題になったのだから、今度こそは、どの医師にもメッセージは伝わったと願いたい」と望む。

一方、現在第3・第4世代ピルを服用している女性たちに向けて、厚生相のトゥーレーヌ氏は「主治医の元に急いで駆けつける必要はありません。次回の診察の際にピルについて相談するとよいでしょう」と、必要以上の不安を取り除く発言をしている。
(Le Nouvel Observateur 1月11日付記事より)

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要は、ことピルに関しては、『第3』だから『第2』のバージョンアップと考えてはダメだ、ということね。iPhone5の方がiPhone4 より高機能、とか、今買うならニンテンドーDSよりは3DS、と同じわけにはいかないと。

前にも挙げたこの記事によれば、そもそも第3世代ピルは、ピル独特の副作用(胸の張り、吐き気、頭痛等)を第2世代ピルより抑えようと開発されたらしい。でも、結果として血栓症のリスクは上がってしまったようだ。

ちなみに、第2と第3/第4世代ピルの違いは主にプロゲステロン(黄体ホルモン)の成分の違いによる。

ともあれ、このピル騒ぎの影響で、1月1日~10日の経口避妊薬の売上げは、第2世代ピルがプラス20%と急増したのに対し、第3世代ピルは6%減少した(nouvelobs.com)。

では、なぜ、いっそのこと、第3世代ピルを完全に販売禁止にしないのだろう?francetvinfo.fr のこの記事によれば、理由のひとつとしてトゥーレーヌ厚生大臣は、第2世代ピルが全く体に合わない女性に選択肢を残しておきたいからと説明。さらに「第2世代ピルを優先させたい気持ちはあるが、体質によりケースバイケースで決めていくことが何より重要」と言う。


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Monday, January 14, 2013

ただいま戦争中。 仏 vs「?」


戦争と平和。
パリでのほほんと暮らす分には生活上実感は沸かないが、金曜夜からフランスは平和な国ではなくなった。

軍事介入と言ってしまうと人ごとに感じられるが、実は、目下国を挙げて戦争中。

オランド大統領は11日夜、国連の容認を受けて国が戦闘態勢に入ったと、全国民に正式に発表した。

そこでQ&A。

誰と戦っているの?
近年の戦争は国vs国という従来の形態を取らないことも多い。
仏軍の対戦相手はアフリカに巣くっている複数の武装イスラム過激組織。

《マリ共和国において》
・Mouvement pour l'unicité et le djihad en Afrique de l'Ouest (MUJAO)「西アフリカ統一聖戦運動」
・Al-Qaida au Maghreb islamique (AQMI) 北アフリカ(マグレブ)のアルカイダ系組織(英表記AQIM)
・Ansar Eddine マリのイスラム主義組織「アンサール・アッ=ディーン」。イスラム法(シャリア)に基づいたの国の建設を目指す。2012年夏にマリの北部でユネスコ指定の世界遺産であるモゾレ(霊廟)を次々に破壊したのはこの組織。

↑ この3組織はマリ北部を支配するイスラム原理主義勢力やトゥアレグ族(砂漠遊牧民)の武装集団で、今回結束してマリの南部に総攻撃を仕掛けてきた。

《ソマリアにおいて》
・Al-Shabbaabソマリアのイスラム武装勢力、アル・シャバブ。アルカイダの一派。Shebab(シェバブ)とも呼ばれる。

どこで?
アフリカの西に位置するマリ共和国北部と、アフリカ東部のソマリア連邦共和国。

この2国への同時介入について、政府は「関連性はない」と発表している。エロー首相いわく「条件さえ整っていればソマリアでの作戦はもっと早くに行われていただろう」。


どうして?目的は?
マリのディオンクンダ・トラオレ(Dioncounda TRAORE)暫定大統領がフランスのオランド大統領に頼んだから。

マリ北部のイスラム主義勢力が一気に南下してきたため、マリ国軍だけじゃ抑え切れないから武力を貸して!と直接要請した。(首都バマコはマリ南部に位置する)

オランド大統領は国連の安全保障理事会に「マリ共和国の要請を受け、テロリスト分子と戦うために、仏軍はマリの部隊を支援する」と知らせた。この軍事介入は、主に国連憲章51条の『自衛権』に基づく、と外交筋は伝えている。

まぁ、表向きはどうであれ、要は、アフリカの外交政策的にも重要なマリほどの友好国が国家として機能しなくなり崩壊するのを、フランスとしては指くわえて眺めているわけにはいかないのだ。

マリがイスラム主義武装勢力の手に落ちれば、近隣諸国も揺るぐことになり、マリの隣国ニジェールやモーリタニアにはフランス企業が関わるウラン採掘産業もあることから(フランス原発の資源)、この地域がアフガニスタン化すのを断固阻止しなければならない。

ただでさえマリ政府は国の北半分のコントロールを失っている。おまけに、AQMI やトゥアレグ族武装勢力はフランス人の人質を8人も捕らえたままだし、ナメられたままではフランスの沽券に関わる、ってとこだろう。

ちなみに、なぜ「暫定」大統領かというと、昨年3月、「北部の武装反乱勢力に対して手ぬるい!」と、一部の軍人の手によってトゥーレ前大統領が追放され、新たな大統領選挙が行われるまでの間、国民議会議長であったトラオレ氏が暫定的に大統領に就任しているから。

一方、ソマリアでは、シェバブの人質になっているフランス人男性を解放しようと、前々から計画が練られていた。人質は3年前に捕らえられたフランスのDGSE(対外治安総局)の情報員(スパイ)。

なぜフランスが手伝うの?
フランスは歴史上、主に過去の植民地支配の経緯から、アフリカ西部の国々と深く繋がっている。

今回、マリのトラオレ暫定大統領はオランド大統領に直接呼びかけ、オランド大統領は「友好国であるマリ共和国自体の存続、マリ国民とマリ在住の仏国民の安全が脅かされている」として引き受けた。

また、フランスはチャドやコートジボワールに仏軍基地を有しており、ロジスティクス面でも機敏に対応できるという利点がある。

オランド大統領は、仏軍の武力行使はあくまでマリ国軍に対する支援に留まるべきである、と慎重に明言している。

セルヴァル作戦って何?
Opération  Serval 。現在マリで展開中の軍事作戦名。
アフリカの砂漠に生息するネコ科の動物サーバル(Serval)にちなんで。

他の国は参加しないの?
当初、フランスは外部の戦力として参戦した唯一の国であったが、マリ軍幹部によればCEDEAO西アフリカ諸国経済共同体(英表記ECOWAS)の統合軍事力にはセネガルとナイジェリアの兵士も含まれるという。

国連安保理は西アフリカ諸国の兵士3300人で構成される連合軍の編成を承認。この連合軍は西洋諸国の後方支援を受けることになる。

その他、ブルキナファソやニジェールが援軍を配備すると発表。

アメリカは後方支援や無人航空機(drone)の提供などをする準備がある。

イギリスも、兵士は出さないがロジスティクス面で協力すると13日申し出た。

フランスの介入が「植民地主義的」と反感を生まないためにも、アフリカ諸国の軍勢が参加することは、フランスにとって大きな意味がある。

勝てるの?
武力装備の点では先進国の軍隊とトゥアレグ族の武装集団では比較にならないと思うが、後者はマリ北部の都市をほぼ支配下においており、広大な砂漠の中で土地勘と拠点を持つ。また、AQMIは2年前よりフランス人の人質を数人捕獲しており、長期戦となる可能性あり。

仏国防相ルドリアン氏は「必要な限りいつまででも続ける」と発表している。

今までの成果は?
《マリ》
初っ端に仏軍のヘリコプター操縦士一人を失ったものの持ち直し、13日にはオランド大統領は「イスラム主義勢力の侵攻を食い止めた。敵軍に大きな打撃を与えた」と発表。14日朝にはトンブクトゥやガオなどの北部重要拠点を集中攻撃している。

《ソマリア》
11日、情報員Denis Allex(おそらく仮名)の救出作戦は失敗。救出実行の際に仏軍に二人の犠牲者が出たほか「状況から見て、人質は処刑されたであろうと強く推察される」とルドリアン仏国防相が発表。

国内で反対している人は?
少数の反対意見を除いては、左右ともにおおむねフランスの軍事介入を支持している。

反対の声をあげているのは左翼党PGのジャンリュック・メランション氏とヨーロッパエコロジー・緑の党EELVのノエル・マメール氏。二人とも議会に事前相談なしに介入が決まったことを非難。メランション氏はアフリカの問題に外部からの軍事介入することも疑問視。

また、右派からは元首相のドミニク・ドヴィルパン氏が12日、「成功する見通しも立っていないのにフランスが軍事介入すること」に反対する声をあげている。

政治レベルの反対者ではないが、忘れてはならないのが2010年9月よりアフリカのマリ北部も含むサヘル(Sahel)地域でイスラム主義武装集団に抑留されている仏人の人質8人の家族たち。人質は民間人。

8人のうち少なくとも6人は直接AQMIに囚われていると推定され、今回の軍事介入により、人質たちの命は今までになく危険にさらされることになる。ソマリアでの人質救出失敗も起きているだけに、フランスで待つ家族たちの心配は想像に余りある。

私たちの日常生活に変化はあるの?
14日朝「フランスの要所を攻撃してやる!」と、西アフリカ統一聖戦運動(MUJAO)が報復を予告したように、今回の軍事介入によって、フランス本土におけるテロ発生の可能性が存在する。

Plan vigipirate と呼ばれるフランス国内の警戒態勢のレベルが、12日夜より、今までの「赤」から「rouge renforcé 濃い赤」という、今回新しく作ったレベル に引き上げられた。(最高レベルはécarlate 緋色」なので赤と緋色の中間、ということか)。

具体的には今までとあまり変わらないが、軍事施設や宗教施設、人の多く出入りする場所などの監視がさらに強化されるという。

大きな駅などで機関銃持ってパトロールしている兵隊さんの数が増えるのかな。


関連ブログ記事
アルジェリア人質事件が終って …(2013年1月20日)


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Sunday, January 6, 2013

今度は「ピル・パニック」回避に懸命


前回までのエピソード:
第3世代ピルで身体障害、訴訟へ(2012年12月21日ブログ記事)
第3世代ピル、3月より払戻しに終止符(2013年1月4日ブログ記事)

先月半ばに提起されたピル訴訟は、かなりのインパクトがあったようだ。

年末年始休暇の真っ最中、それも1月1日に、フランス保健製品衛生安全庁(ANSM)が第3・第4世代ピルの処方を一部専門家のみに限定する方針であると発表。

翌2日には、厚生大臣のトゥーレーヌ氏が、第3世代ピルの保健払い戻し中止の時期を早めると宣言。

このように、政府関係者が第3・第4世代ピルを市場から撤回するような意気込み示したことに対し、医師などから非難の声が次々に上がっている。

患者にピルを処方する権限を取り上げられそうになった一般科医(généraliste)や、家族計画団体(planning familial)の責任者などが次々と、女性のピル離れを懸念する声をあげた。

また、専門医である産婦人科医たちも、今回のANSMと政府の対応を非難する。

ストラスブール大学病院のイスラエル・ニザンIsraël Nisand 教授は、長年避妊用ピルの無料配布制度の普及に尽力してきた産婦人科の権威であるが、今回の政府の対応に手厳しい。

教授は4日、ラジオで「訴訟を契機に政府がパニック状態であることに驚愕している。このようなパニックは経口避妊薬に対する警戒心を生み出す。実際に他の国で過去に起きたことで、結果として人工妊娠中絶が‘大繁盛’してしまった」と発言。また、「数百万人の女性に適している避妊方法の払戻しを中止する決断をした政府」を激しく責めた。

事態の沈静化を目指してか、ANSM長官のドミニク・マラニンキ氏は5日、ル・モンド紙のインタビューで「処方を専門医に限定することは法的には簡単だが、好ましくない。(中略)産婦人科医の数も充分ではないし、今は検討していない」と、数日前の自身の発言を覆している。

また、第3・第4世代ピルの販売を中止する意図があるか、との質問に対し「現時点では全く考えていない」「急に中止すれば、深刻な混乱を招きかねない。その結果、1995年イギリスで起きたように*、望まない妊娠、人口妊娠中絶の急増につながる恐れがある」と、その可能性を否定した。

血栓塞栓症の発症率は、マラニンキ長官によれば、ピルを服用していない女性500万人に対して年間250~500件、第2世代ピルを常用する女性250万人に対して年間約500件、第3・第4世代ピル常用の女性250万人に対して年間約1000件の割合であるという。
* 1995年にイギリスで起きた"pill scare"(ピルの脅威)現象。開発されたての第3世代ピルへの不信からピル服用率が下がり人工妊娠中絶が急増した。フランスでも"panique à la pilule"と呼ばれ、中絶の増加傾向が見られた。

このように、提訴により製薬会社とともに槍玉に挙げられた政府当局がビビッて、正月早々性急な発表を重ね、もともと「経口避妊薬 命!」の傾向にあるフランス医療界、団体等がこぞって反撃した、という形だ。

避妊率の低下はもちろん阻止するべきである。私の尊敬するニザン教授の言うことは最もである。それは大前提として、この際、他の効果的な避妊方法についてもっと話し合われたらいいなぁ、と個人的には思う。

ピルの副作用も、望まない妊娠・中絶よりは「まし」ということは充分理解できるけど、毎日服用する煩わしさに加え、医薬品として不安が付きまとう、という要素も無視できないと思う。

じゃ、何が?と言われても確かに限られてくるが、子宮内に装着するIUD(仏語ではDIU、俗にstérilet と呼ばれる)などは、実際には未経産婦(nullipare)にも問題ないという専門家も多く、もう少し普及する余地があるのでは、などと感じる今日この頃である。

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Friday, January 4, 2013

第3世代ピル、3月より払戻しに終止符

新年早々、経口避妊薬のニュースに動きが出ている。
(AFP1月2日付記事こちらとこちら)

重度の障害を負った女性により第3世代ピルを摘発する訴訟が起きたのが12月半ば。(ブログ記事 第3世代ピルで身体障害、訴訟へ 参照)

1月1日、フランス保健製品衛生安全庁(ANSM)長官のドミニク・マラニンキ氏(Dominique Maraninchi)が、第3・第4世代ピルは血栓塞栓症のリスクが高いとして、その処方を一部の専門家にのみ許可することを検討している、とAFPに発言。
(要は、一般科医Généralisteによる処方は第2世代ピルまで、ということ)

翌2日には、厚生大臣のマリソル・トゥーレーヌ氏が「2013年3月31日より第3世代ピルの払い戻しを終了する」と発表。と同時に、ANSMに対し「特別な理由がない限り第2世代ピルの処方が機械的に優先されるよう」要求。その理由として「第3・第4世代ピルに比べて血栓塞栓症の発症率が半分であること」を挙げている。

第3世代ピルの払戻し終了は、当初2013年9月から実行されるはずであったが、12月の裁判所への訴えが反響を呼び、動きが加速した模様。原告の弁護士団によれば、1月中にさらに30件ほど、同様の起訴が予定されているという。

France Info によると、第3世代ピルの服用者は現在150万~200万人で、フランスでピルを常用している女性のほぼ半数に当たる。


ところで、具体的にどのピルに関する話なのか?実際に服用している女性なら気になるところだろう。

2日に医療・医薬品情報サイトのdoctissimo.frがアップしたニュース記事を参考にまとめてみた。

第4世代ピルでSécurité sociale(国民保険)からの払戻しの対象となっているものはない。参考までに、代表的な商品名は Jasmine、Yaz、Jasminelle、Rimendia やConvulineなど。

第3世代ピル。
現在65%の払戻しが適用されているのは以下のふたつのみ:
Desobel ® (Effik)
Varnoline continu ® (Msd France)
この2種類が3月からの払戻し終了の対象となる。

もともと払戻しのない第3世代ピルは:
Cérazette ®(Msd France)
Mercilon ® (Msd France)
Harmonet ® (Pfizer)
Minesse ® (Pfizer)
Minulet ® (Pfizer)
Tri Minulet ® (Pfizer)
Meliane ® (Bayer)
Melodia ® (Bayer)
Moneva ® (Bayer)
Phaeva ® (Bayer)

今まで上記の第3・第4世代ピルを服用していた女性は、下記の第2世代ピルにスイッチするよう勧告を受けることになる。

第2世代ピルは、ほとんどが65%の払戻しの対象になっている。
その代表的なものは:
Stediril(Pfizer)
Leeloo Gé ® (Théramex)
Microval ® (Pfizer)
Mirena 52 mg ® (Bayer)
Minidril ® (Pfizer)


では、第3・第4世代ピルをすでに服用中の場合、どうすればよいのか?

doctissimo.fr のアドバイスによれば、いきなり中止せずその周期分のピルを必ず飲み終わってから他の避妊方法に変更すること。

また、本人や家族の既往歴のうち、血栓塞栓症や肺塞栓症、脳梗塞(脳卒中)などを問われずに現在のピルを処方されている場合は、すみやかに医師に相談すること。第3世代以降のピルは例外的にしか使用されないことになるので、第2世代ピルに変更してもらうこと、を推奨している。

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Monday, December 31, 2012

ストラスブールで聖女に出会った


年末年始を過ごしているストラスブール。夜、子どもを預けての久々のレストラン。

趣のある上階のホールで楽しく食事を取っていると、トコトコ、トコトコ、小さな足音が行ったりきたり。よくみると、ホール係のお姉さんの後について、7歳くらいの女の子がお皿をさげたり、デザートのみならずコーヒーまでをもこぼさないように慎重に慎重に運んでいる。

使命がひとつ終わると「次は、次は?」とお姉さんの指示を仰ぎ、「じゃ、これね」と任されると誇らしげに任務に就く。

25日は過ぎたとはいえ、大晦日まで開催中のクリスマスマーケット目当ての観光客は引きも切らない。ディナーに行った人気の老舗も予約客で満杯。スタッフは総出なのだろう、どの顔もキリッと締まり、息つく暇もない様子が伝わってくる。

そんな中での小さな給仕さん。預け先のなかったスタッフの子か、お店のオーナーの娘さんだろう、とオットも私も連れの者も思った。

ここで印象的なのはホール係のお姉さん。自分の仕事はきびきびと、しかも笑顔で確実にこなしながら、女の子の出来そうな作業を見つけては与える。少女は厨房にも着いていく。他のスタッフも上手によけながら気にも留めていない様子。

同年代の子を持つ客としては、お姉さんに脱帽。

女の子がどんなにかわいくても「この○○忙しい時にお荷物抱えちゃって・・・」と同情の気持ちでいっぱいになる。

そのうち、手一杯のお姉さんにデザートカードを渡され、少女は私たちのテーブルに注文をとりにきた。一人ひとりに「Qu'est-ce que tu veux? 何が欲しいの?」とたずねる声に楽しく答えながらも「覚えきれるだろうか」と不安がよぎるが「デザートメニューは暗記しているのだろう」と思い込むことにする。

お姉さんは後から確認しには来ない。女の子から報告を受け、遠くから「デザートは3つね?」と私たちに数だけ確認。

そう、実は、はじめから何よりも印象的なのは、ホール係のお姉さんの少女に対する信頼の与え方だ。私だったら、お客に出すコーヒーなど「こぼしたら大変」と絶対に任せられないだろう。注文だって、聞き間違えたり覚えきれないのでは、と不安になるだろう。

それが、おそらくある程度の失敗は想定のもと、はじめから「出来るだろう、出来るよね」と7歳児に信用を置いている。それが自然に伝わるから、少女も任された内容をとても誇らしく真剣にこなす。そして、彼女の達成感がこちらにまで伝わってくるのだ。一種の感動さえ覚える。

そして、それは起こるべくして起こった。

両手両腕に食器を目一杯重ねて歩き出そうとしたお姉さん。そこに「私にもやることない?」と少女が割り込んだため急停止。パリーン!グラスがひとつ少女の足元で割れた。

すると、奥のテーブルから女性が一人駆けてきて「大丈夫?マルゴ、もう終わりにしなさい、お姉さんも大変よ、あなたが割ったの?」。「ううん、私じゃない、私じゃないのママ、お姉さんなの。私じゃないの。」

そう、少女は食事に来ていたお客さんの子どもだった。大人より先に食べ終わって退屈していたのだろう。

コップが割れても、お姉さんはまず少女に怪我がないか確認し、責めることも叱ることもなく、あくまでもやさしく対応していた。

お姉さんは見るからに若く、子どもなどいないかもしれない。それでも、包み込むような寛容さがにじみ出ている。どんなに忙しくても心の余裕が感じられる。笑顔は接客用ではなく、彼女本来のものだとわかる。子育てで私に欠けている部分を見せつけられた思いだ。

天使が舞い降りそうなイルミネーションの街中で、紛れもなく、聖女に出会った。

STRISSEL:  5 place de la Grande Boucherie 67000 Strasbourg

Saturday, December 29, 2012

パラベン替りの防腐剤MITでアレルギー多発


パラベンに替わりコスメ用品などに広く使用されている防腐剤によるかぶれや湿疹が増えていると、フランス皮膚科学会(SFD、Société Française de Dermatologie)が発表した。12月19日のAFP通信が伝えている。

問題となっているのは Methylisothiazolinone(メチルイソチアゾリノン)という化学物質。

それまで主流であった防腐剤のパラベンParabenは、環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)の疑いがあるとして2011年よりフランスではその使用が禁止。

現在はメチルイソチアゾリノン(略記号MIT)が防腐剤として、ボディケア用品(ウェット・ティッシュ、石けん、シャンプー等)や家庭用洗剤(食器用洗剤、液体洗浄剤等)、業務用洗剤に広く使用されている。

「メチルイソチアゾリノンによるアレルギー症状が増えている。ほとんどが接触性の皮膚炎」と、フランス皮膚科学会役員のブリジット・ロワ=ジェフロワ医師は指摘する。

ナンシー国立大学病院の皮膚科・アレルギー科の責任者のアニック・バルボー教授によれば、皮膚炎は顔面に多く見られるが「メチルイソチアゾリノン入りの保湿クリームやボディソープを使用した場合にはもっと広い範囲にも症状は出る」。

さらに、市販のお尻拭きで赤ちゃんの臀部がかぶれるケースや「稀に呼吸困難の症状や粘膜の炎症も発生している」と教授は言う。

フランス皮膚科学会は、敏感肌の持ち主に対し、メチルイソチアゾリノンを示す「MIT」の成分表示に注意して商品を購入するよう勧告している。(France Info 12月19日付)


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Friday, December 28, 2012

TNT地上デジタル無料放送に新顔6局


フランスのTNT(地上デジタル放送)は、12月12日より新たに 6局を無料で追加した。ル・モンド紙がまとめた各局の特色をご紹介。

Chérie 25 100%女性を対象としたNRJグループの新局で、路線は ‘‘ユーモアと無作法’’を狙う。シリーズ・ドキュメンタリー「Ma vie de femme」では女性犯罪者や妊婦などにマイクを向ける。映画放送も「マリー・アントワネット」や「ザ・クイーン」などのラインナップ。TVシリーズでは、第二次世界大戦中にカナダの弾薬工場で働く女性たちを描く「Bomb Girls」を放送予定。

RMC Découverte プログラムの8割は米ナショナルジオグラフィックやディスカバリー・チャンネル等から購入したフランス未放送の番組。テーマは日替わりで、冒険と動物、サイエンスとテクノロジー、歴史と探求、旅行と生活等々。スタン・リーの「スーパーヒューマン 現代の超人たち」、「トップ・ギア」、「Les nouveaux archéologues (BBC原題 National Treasures Live」などの放送が予定され、若者層を狙う。

6Ter M6グループ第3のチャンネルとなる6Terは総合的なプログラムを企画。「カールじいさんの空飛ぶ家」や「スラムドッグ$ミリオネア」などの大衆向け映画を週に2本。ドラマでは「Super Hero Family(原題No Ordinary Family)」や「Rasing Hope」など、家族をテーマとした米TVシリーズを揃える。

HD1 TF1グループからは映画、TVシリーズ、フィクション一色のHD1登場。TF1のパオリニ会長曰く、これらは「フランス人の好きなジャンルのベスト3」。プログラムの40%は未放送の番組で、年間約250本の映画を放送予定。週一晩はこだわりの芸術作品(art et essai)を厳選。唯一のマガジン番組「CLap」ではフィクションにまつわるニュースを扱う。

L'Equipe 21 試合の中継、結果やインタビューなど、スポーツファンには嬉しい約100種目に亘るスポーツに関する情報局。「Menu Sport」では、毎日スポーツを社会的・文化的・メディア的観点から分析。また、偉大なチャンピオンたちを描いたドキュメンタリー番組も。

Numéro 23 この局は、大衆向けに多様性について語ることにすべて賭ける。社会的多様性、身体的多様性、文化多様性など、あらゆる多様性が番組のテーマになる。ジャーナリストのクリストフ・オンドラットが司会をするトークショーでは、その日の社会テーマをめぐり各視点からの意見交換。歌とダンスは「XファクターUSA」と「アメリカズ・ ベスト・ ダンス・ クルー」のリアリティ番組におまかせ。


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Wednesday, December 26, 2012

プレゼント:今年はMade in France がよく売れた


政府が力を入れるメイド・イン・フランス促進の効果か?

生産再建大臣のアルノー・モントブール氏( Arnaud Montebourg)が、「フランス産」を売り込むために、ブルターニュのアルモール・ルクス社のマリニエール(横じまのバスクシャツ)姿で、ムリネックス社製のミキサーを手に、10月「ル・パリジャン・マガジン」の表紙を飾った話題も記憶に新しい。

26日発表されたアンケート結果によると、今年はフランスの消費者の55%が「フランス製」のクリスマス・プレゼントを購入したと、本日付France Info のサイトは伝える。

フランス製品の利点は「品質が高く、由来が明確。おまけに、国内雇用も促進する」というのが大方の意見。

男女別では、男性58%女性53%、年齢別では65歳以上のシニア層が77%がフランス製品を購入したほうがよいと回答、主に男性とお年寄りが「 Made in France」にこだわっているようだ。

一方、フランス製品の欠点だが、「価格が高い」が47%、「規格を設定するなどして製造に関する情報がもっと欲しい」が42%、「あまり市場に出回っていない」が36%。
 
また、回答者の3分の1近くの27%が、モントブール氏の提案する「Made in France」製品の売り場の創設を各店に望んでいる。


10月19日付Le Parisien Magazine誌の表紙でポーズを取るモントブール氏。
Medef(経営者団体)のマダム・パリゾをして「セクシー」と言わしめた。


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Friday, December 21, 2012

第3世代ピルで身体障害、訴訟へ


先週のことであるが、気になった裁判のニュースがあった。

若い女性が、避妊用ピルを服用したため重度の障害を背負い、ピルを製造するバイエル薬品と 、販売を阻止しなかったとして国のANSM(AFSSAPSフランス保健製品衛生安全庁の後身)を相手取り、ボビニーの大審裁判所に訴えを起こした、とル・モンドのサイト(12月14日付記事)が伝えた。

原告はマリオン・ララさん、25歳。2006年、マリオンはMelianeというバイエル薬品の第3世代ピル服用4ヵ月後に脳梗塞を起こし、体の65%が麻痺する重度身体障害者となった。この脳血栓がピルに因るものであることは、2012年6月、ボルドーの地方医療事故損害調停委員会(CRCI)により確認されている。

各製薬会社は、第3第4世代ピルで血栓症リスクが高くなる事実は認識しているが、説明書に小さく記述することにより責任を免れているのが現状。

マリオンの場合、ピルと脳梗塞の関係がすぐに明らかになったわけではない。多くのピル被害者がそうであるように、病状とピルの因果関係にはすぐに気付かない。

2010年、ボーイフレンドが出来たマリオンは、再びピルを服用しようと新しい婦人科医を訪ねる。血液検査が行われ、そこで彼女は染色体に第II因子ライデン変異を持つことを知る。この因子は、血液の凝固反応を促進する。経口避妊薬の摂取は禁忌だ。

ピルと脳梗塞が結びついてから、マリオンは「一年間ほとんど眠れなかった。女性の8%がこの染色体異常を持っていると知ってから、今までにも死んだ女性がいるだろうし、これからも死ぬ女性がいるのだと悟った」という。それまで、マリオンはピルによる血栓症のリスクなど聞いたこともなかったし、家族は皆健康で、自分が染色体異常の持ち主であるなど夢にも思っていなかった。

ル・モンド紙は、マリオンのほかにも、ピルが原因で若くして亡くなったテオドラとアデールの家族の証言、肺塞栓を起こしながらも間一髪で助かったカロリーヌの証言を載せている。

ピルで障害者に?記事を読み始め、まずはこの意外性に打たれる。

フランスでは避妊用ピルはそれはそれは広く普及していて、一般的には「害のない」錠剤との認識があるからだ。害がないどころか、女性の身を守る、社会的に有益な良薬としての位置づけで、女性はティーンエイジャーの頃から当たり前のように服用している。

記憶が正しければ、思春期を描いた80年の映画「ラ・ブーム」で、ボーイフレンドの出来た13~14の娘に母親がピルを与えるような場面があったと思うが、要は、これがこの国のメンタリティー。

よって、女性の味方のピルが、健康な人間の命を奪うことがあるなんて、すぐにはピンとこないのだ。

でも考えてみれば、ホルモンの自然なリズムを騙くらかして排卵を操るために、得体の知れない添加物とともに四六時中、365日、何年も続けて飲み込み続けるのである。本当に体に何の影響もないのか、素朴な素人の疑問だ。

言っておくが、私はピル反対の立場ではない。女性が望まぬ妊娠を避けるための一手段として、研究開発が重ねられてきた経緯に関しては敬意を表している。1999年、日本で避妊目的の低容量ピルが解禁したときには(すでに日本にはいなかったが)「ようやく!」と心から喜んだものだ。

だけど、この国では、釈然としない何かがある。このモヤモヤが何処から来るのか、突きつめてみようと思う。

まずは、「ちゃんとした」女性は飲んでて当たり前、という風潮。

日本人女性は避妊目的でピルを服用してないのが「普通」だ。今の若い娘は知らないが、私の年代ではそう。それを知ると「あ~ら、先進国なのに女性はピルも飲んでないの?」と蔑んだような風潮が鼻につく。「あんたの国でだって、薬による避妊なんて、そう遠くない時代には考えられないことだっただろうがっ!」と思いっきりツッコミたくなる(実際言い返すけど)。でも、ま、それはピルに限らず、一事が万事そういう国だから置いとくとして・・・

私の気になるのは。

日本の女性で、フランス人男性とお付き合いすることになって、ピルを飲むよう言われた人も多いと思う。気に食わないのは、一般男性が女性にピルの服用を当然のように要求すること。

「避妊は二人の問題でしょ!今までピルに親しんでこなかった女性に対して『ピル飲め』って、よくも簡単に言ってくれるわねー。で、あんたは何を協力するの?ただ指図するだけ?ピルについて何の知識もないくせに」と、実際に言われた立場になったことがないので、感情移入でしかないけれど、こう大声で答えたくなる。

要は、男性の「ピルも飲んでないのかよ(めんどくせーなー、ちっ!)」という思考が透けて見えて、「ピル飲んでって言われた」って話を聞くたびに不愉快になるのだ。

つまり、一方的に女性だけが当然のように「負担」を強いられている現状。実際には仏女性の大半も「負担」だとは感じていないようなのだけど、それだけに、「負担」や「不安」に思う女性もいる、という想像力が働かなくなっている現状。これが一番アタマにくる。

と、話は逸れてしまったが、、、
そんなフランスでピルの弊害を訴えて訴訟に踏み切ったマリオンの勇気を讃えるとともに、他の薬害訴訟同様、困難が予想される裁判に向けて心から応援したいと思う。


ピル関連ブログ記事
Diane35、ピル騒動の中の抗にきび薬スキャンダル(2013年2月2日)
第3世代ピルは第2世代ピルに勝らない(2013年1月23日)
今度は「ピル・パニック」回避に懸命(2013年1月6日)
第3世代ピル、3月より払戻しに終止符(2013年1月4日)


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Friday, December 14, 2012

本当に華麗な「アンナ・カレーニナ」!


5日に公開された『アンナ・カレーニナ』を見てきた。ラジオで封切りを聞き、絶対に行きたいと思っていた映画だ。

古いといわれようが、私はロマン大作が好き。特に、終り方がやりきれないロシアものは良い。トルストイさま。どんな仕上がりなのだろうと、わくわくしながら映画館に向かった。

わざとではないけれど、今回はめずらしく新聞・雑誌の批評を事前に読まずに行った。ラジオも聞き流しだったため監督や役者が誰であるのか、その場でわかることになったのだが、、、、

嬉しい発見その1。ヒロインのアンナ役がイギリス女優のキーラ・ナイトレイだった。彼女には以前、飛行機の中で会った。というのは半分ウソで、実際は、成田・パリ便の座席の前の小さな画面で初めて、映画『プライドと偏見』でヒロインを演じていた彼女に会った。とても印象に残っていたこの美しい女優さんが再びヒロインだということで、楽しみが倍増した。

嬉しい発見その2。映画監督が ↑ の『プライドと偏見』(ジェーン・オースティン原作)を手がけたジョー・ライトだった。

さて、映画が始まり、、、

いや~、驚きました。始めに劇場の舞台がいきなり出てきて舞台上でお話の演技が始まり、、、。さすがに最初だけでしょう、と思っていたら、お話すべてがほぼ舞台セットの中(?といっても大幅にはみ出すのだが)だった。

知らないで行っただけに戸惑う。役作りも、故意に、すべてが芝居がかっているし、メイクも衣装も誇張されているし、背景のセットはバッタバタ変わるしで落ち着かない。

おっかしいな、こんなにアバンギャルドな監督だっけ?私は映画を見に来たのよ~、お芝居じゃないのよ~、早く「標準」に戻って~~~!と始めの10分間は祈っていたのだが。。。

慣れる。というか、美しい。衣装も、役者も、振り付けも、セットも。始めは鼻についた人工的な要素も、要は抽象の目を持って見ればストーリーにぴったり合っているし、違和感がすっとなくなるどころか、むしろ心地良い。

アンナの愛人ヴロンスキーも、ジャン・ポール・ゴルチェの香水のCMからそのまま出てきたのでは?とびっくりな風貌だが、それでも、役にぴったり嵌まってくるから、あら不思議。

さてさて、肝心のストーリー。アンナの劇的な運命も、若かりし頃に本で読んだときと変わらず、満足だったのだが、子を産み年数を重ねた今、心に響くところがやはり違うなぁ。

私の長男とたいして歳も変わらなそうなアンナの息子。アンナの、息子に対する愛。母に置き去りにされた子の寂しさ。アンナの、身をちぎられるであろう悲しみ、迷い、葛藤。

妊娠を避けられない当時の女の運命。そして強さ。

愛の形。誠実な愛、忠実な愛、理性の愛、情熱の愛、真の愛、拘束の愛。どれが本物でどれが間違っているのか。もちろん、映画の中には正解もなければ道徳の押し付けもない。

華麗、感動、オリジナル、の3拍子揃って、大満足のひと時でした。

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Monday, May 23, 2011

やっぱりダルデンヌ(カンヌ映画祭)

日曜の午後、ダルデンヌ兄弟監督の『少年と自転車(仮題)』(原題:Le gamin au vélo)を見に行った。今年のカンヌ映画祭のノミネート作品で、映画を見た数時間後に、この作品は最高賞に次ぐ「グランプリ」に輝いた。

ダルデンヌ兄弟の映画は、もともと「好き」というカテゴリーに入っていて、『少年と自転車』も自然と見にいく流れになっていたのだが、数えてみたら1999年の『ロゼッタ』以来この兄弟監督の作品はひとつも見ていないことに気がついた。

ちょうど、出産・子育てで忙しく、昔のように映画館に出掛ける余裕もなく、ダルデンヌ兄弟の映画が封切りされるたびに批評を読むことにより、何本か見た気になっていたのだろう。

と、前置きはさておいて、やっぱり良かった!

父に捨てられた少年の愛の渇望。やり場のない感情の激しさ。ひょんな出会いから本物の絆を築き上げる血の繋がらない「親子」。

決して不自然じゃなく、お涙頂戴じゃなく、道徳の押し付けではなく、正解も不正解もなく、地域の不良少年から書店の主に至るまで、登場人物すべてが、それぞれの立場をそれなりに精一杯に生きている姿が見事に描写されている。


ある偶然(必然?)から、施設暮らしの少年のホストファミリー(といっても女性ひとり暮らし)となるサマンタ(セシル・ド・フランス)は、「大切なこと」「物ごとの本質」を直感的に察知し自然に行動できる能力が備わっている人物で、まさに、私が目標とするところの母親像である。そんな彼女も、映画の中で聖女扱いされてるわけではなく、ただの一人物として描かれている。

ところで、自分が男の子の母であるせいか、最近どうも少年が出てくるお話に弱い。

数ヶ月前、昨年のカンヌ祭で上映され、やはり10歳前後の少年の話を描いた、メキシコのディエゴ・ルナ監督の作品『ABEL』を見に行き、感慨に包まれた。
また、子どもを産んで間もないときにDVDで見たイタリアの故ルイジ・コメンチーニ監督作品『天使の詩』(1967、原題 Incompreso、仏題 L’incompris)には涙が止まらなかった。

今回、『少年と自転車』のシリル君も、私の母性?(それとも子供心?)の琴線に見事に触れてくれた。

Wednesday, March 9, 2011

映画ブラック・スワン、スリルor感動?

『ブラック・スワン』を見に行った。とても気に入った。見る前に批評はひとつしか読んでいなかった。ル・モンドのThomas Sotinelが書いた記事。ル・モンドの映画批評とは波長の合うほうで、今回の『ブラック・スワン』に対する評価も良かったため、落胆する心配はあまりせずに出掛けた。結果、期待以上に満足した。

ただ、面白いことに、記事に描かれた映画とは全く別のお話を見た気がした。

まず、Sotinel氏の批評記事の題名にはdanseuse schizophrène とあり、文中にはさらにdanseuse folle(狂気のダンサー)とあったので、統合失調症(schizophrénie)の精神病バレリーナのお話なのかと思っていた。何のことはない、ごくマトモな女性のお話だった。

Sotinel氏はまた、film d’horreur (ホラー映画)とも描写している。私は大の怖がりで、少しでもホラーもの、超常現象・幽霊モノを見ると、しばらくはトイレにも行けないし、背後に気配がしてシャンプーすらまともに出来なくなる。臆病すぎて、いわゆるホラー映画は絶対に見に行かない。Xファイルでさえ震え上がるタイプなのだ。

ブラック・スワンは、私にとって、明らかにホラー映画ではない。スリラーでもないかも。鑑賞後も気味の悪さや恐怖感は無く、お風呂で髪も洗えたし、ひとりでトイレにも行けた。

私が見たのは、窮屈な環境にありながらグレもせず「いい子ちゃん」で四半世紀を過ごした普通の女の子の話。その娘が、プリマ役を契機に、(内なる)母を「殺し」、自分をがんじがらめに縛る超自我(=白鳥)と壮絶に闘う。

彼女の内部に渦巻く怒りや葛藤やドロドロや恐怖の激しさを思えば、血、暴力、幻覚、妄想を交えた強烈な映像描写は決して過剰ではない。特殊効果も説得力がありちょうど良い。そして何よりも怯える彼女に芽生えてくる勇気が見て取れて嬉しい。 

最後には闘いに勝った自由な開放感が深々と伝わってきて、ラストシーンの主人公と同様、晴れ晴れと爽快な顔で映画館を出た。

Sotinel氏は「ブラック・スワンは純粋に刺激的な映画であって感動を喚起するものではないBlack Swan est un film de pures sensations qui relègue les émotions au second plan.」とまとめているが、私は、スリルよりも感情的に動かされた。

そして、最後の相違点。Sotinel氏は「映画館を出たとたん、歩道上で言い争いを引き起こすような類の映画」としているが、幸い、一緒に鑑賞したオットと公衆の面前で夫婦喧嘩にはならなかった。

私「いい映画だったね。主人公、頭おかしくなかったね。」
答「うん」

Sotinel氏と見に行ったのだったらケンカになっていたのかも知れない。

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役者:ナタリー・ポートマンは最高。「フレンチー」役のヴァンサン・カッセルがどうにも平べったかったのが残念。

Tuesday, March 1, 2011

アクテュはフランス生活の友


前々から、日々話題になるトッピックで、自分の関心がいくものについてメモしてったら面白そう、とは思っていました。

初めは、紙(画面)相手に文章打ち込んでも反応もないしねー、と無意味に感じましたが、そのうち、別に一方的なつぶやきでもいいや、たまたま見た人は読むだろうし、誰かの役に立つとも限らない、と思えてきました。

というのも、フランス生活者ならお分かりだと思いますが、フランス人は老いも若きも、ムッシュもマダムもマドモアゼルも、政治の話から3面記事にいたるまで、とにかくべらべらと話題にするのが好き。世間話をする時にも、ある程度のニュース l'actu( l’actualitéの略)の知識があると、人とのコミュニケーションがぐんと面白くなります。

ヒントになったのが、昨年2010年サッカーワールドカップ時の我が家のある出来事。

TVのニュースチャンネルから「ではお次は ‘La coupe du monde pour les nuls’(素人のためのワールドカップ講座)のコーナー!」とおどけた調子の声が聞こえてきて「まったくサッカーに疎いあなたでもこれさえ覚えれば会話に加われる!」などと言っています。

「さて、今日のフレーズは、
『まったく、なぜドメネク監督はシセを出さないんだ?
ギリシャのスーパーリーグの得点王だというのに!』
です。」

その夜、帰宅したオットにこのフレーズを伝えました。

翌日、仕事から戻ったオットは、「いや~、すごいよすごい。昨日のフレーズ本当に使えたよ」と可笑しそうに話し始めます。

全くサッカー音痴のオット、昼休みに社食でサーカーの話題になった時、すかさず
『まったく、なぜドメネク監督はシセを出さないんだ?
ギリシャのスーパーリーグの得点王だというのに!』
と、もっともらしく発してみたそう。

すると、みんな口々に「そうだそうだ、まったくだよな~、何でシセを使わないんだ!」などと熱くなって会話は続いたそうです。

私:「で、そんな知ったようなこと言って、他にも色々と聞かれた?」
オット:「全然。このフレーズをエサにその後も勝手に盛り上がってたよ」
ちなみに、オットはシセが誰であるのか、まったく分かっていません。

そう、そもそもフランス人なるものは、往々にして人の話など聞かずに自分がおしゃべりしたいもの。でも、話題についていけないからといって、ずっと黙っているのも面白くないですよね。

そこで、便利な「合いの手」があると、フランス人とのソワレも楽しくなってくるかも。ハァ~、ソレソレ!よいやさぁ、よいやさ!と、フランスの「巷の話題」に興味がない人にとっても、このブログの内容がコミュニケーションのお囃子代わりにでもなれば嬉しいな、と思います。


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