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Sunday, January 27, 2013
仏メディアに忘れ去られたアルジェリア人質事件
【仏メディア 後編】(前編へ)
24日午後、シャルル・ド・ゴール空港で、メキシコで釈放されたフロランス・カセさんを乗せた飛行機が着陸するのを取材陣が待つあいだ、iTele のレポーターが一人「実は今朝、この空港に、もうひとつの帰還がありました。アルジェリア人質事件で唯一殺害されたフランス人人質のヤン・デジューさんの棺が、同じ滑走路に降り立ったのです」
無名のレポーターよ。よく言った。彼の一言は、フロランス歓迎のヒステリックな報道に一瞬にしてかき消されてしまったが、私の耳にはちゃんと残ったよ。
フロランス帰国の過熱報道が、数年にわたる人権侵害からの解放を祝う喜びからくるものであるならば、テロリストの人質になりあっけなく殺されてしまうという、同じ一国民に対する明白な人権侵害はどう扱うのか?
数少ない記事のひとつによれば、棺の出迎えにひそやかに出席したのは無名のエレーヌ・コンウェイ在外フランス人担当大臣(外務省付きの副ポスト)。記事の写真を見ると一応赤じゅうたんは敷かれているので国としての公式な出迎えだというのに、同じ日の午前と午後でこの待遇の差は何?
たとえ遺族が報道は控え目にと希望を出していたと仮定しても、ジャーナリストとして一応は言及するのが勤めだし、死者への敬いってモンじゃないの?記事によれば、空港で棺が迎えられた場所も、数時間後にフロランスがファビウス外相を従えて記者会見のフラッシュを浴びた、同じレセプション・ルームだということだし、リマインドする機会はいくらでもあったのでは。
フロランスと同じ日に、自国の人質の亡骸も帰ってきたと気付いた仏国民はどれだけいるのだろう?
やっぱり、マリ軍事介入の正当なイメージを維持するため、士気を損なわないために、今現在フランスでは「あの」人質事件に、メディア上なるべく触れさせたくないのね、と勘ぐらざるを得ない。
もちろん、視聴率的には味気ない棺おけの映像よりは美女の涙や笑顔の方が売れるので、すべてが政治がらみでないことは承知。ただ、フランスのメディアは、独立を謳ってはいるけど、メディア企業オーナーが財界の大物であることも多く、サルコジ政権下では仏国営テレビの責任者を大統領が直接任命できるように法を変えちゃったりして、往々にして報道を自粛したりする悪い癖もある。
ショックだったのは21日月曜日、France2(国営放送)20時のTVニュース。アルジェリア軍の強行突破から2日目のこの日は、午後にアルジェリアのセラル首相が制圧作戦終了後初の記者会見を行い、外国人人質の犠牲者の数が当初伝えられていた23人から37人に増えて行方不明者もまだいる、と発表した日だった。
かなり重要な話題だと思われたのに、なんと、この記者会見の数時間後に放送されたプライムタイムの全国ニュース番組で見事に無視されてしまった。
最初の10-15分は延々とフランスに降りしきった大雪の話題。わかったよ、いつまでやってんだろ、って思ったら次はマリでのフランス軍の活躍のニュース。北部のある村からイスラミストたちを追い出すことに成功、村人たちに歓迎される、フランス軍立派!という内容。おまけに、コンピュータグラフィックでマリでの北部解放戦線がぐんぐん上昇していく様子が映し出され、戦中プロパガンダか?とツッコミを入れたくなる。
その他、オバマ大統領就任セレモニーの話題もあったかなー、よく覚えてないけど、とにかく、アルジェリア人質事件にはついに触れられることは無かった。。。
なんか、あきれるだけでなく、腹立たしいんですけど。
これでいいのか、フランス・メディア?
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Saturday, January 26, 2013
フロランス・カセ釈放帰国と仏メディア
【仏メディア 前編】
フロランス・カセ Florence Cassez さん釈放について、昨日書ききれなかったこと。(釈放までの経緯については昨日のブログ記事参照)
フランスに住む人ならイヤでも気付いたであろう、フロランスの釈放と帰国にまつわる報道はオーバーヒート気味だった。彼女の件を知らない人は、いったい何ごとか?誰この人?と感じたことだろう。
まずは23日夜の、釈放か否かを審理するメキシコ裁判所からの実況中継。まぁ、これはメキシコ側が審理をメディア公開しているので、生中継自体は仏メディアのせいではないけど、iTele やBFMTV などのニュースチャンネルは解説者、評論家、「支持する会」メンバーをこぞって集めて批評大会。その割には昨日書いたように、肝心の審理内容はうまく伝わってはこなかったのだが。
すごかったのはフロランスの母親が、議員など「支持する会」の代表メンバーや、仏ファーストレディのヴァレリー・トリールヴァイレール(Valérie Trierweiler)と共にテレビで審理を追っているというパリのアパートの建物の前。
すずなりの記者とカメラマン。母親のシャルロットはじめ、メンバー全員が出てきたとたんに押すな押すなの大騒ぎ。どの局も我先に映像やインタビューを求めて押し合い圧し合い怒号が飛ぶ。結局、肝心のテレビ画面には揉み合いの映像しか映らないのだから、こういうシーンを見るたびに、まったく非生産的だと感じる。全体主義国家じゃないからね、局同士の自由競争は良しとしても、なんとかならないもんか。
その後、近くのカフェで母親シャルロットと支持メンバーとの記者会見が予定されていて、ここでも「(前のカメラマンに)座れっ!見えないっ!」と怒声の掛け合いがしばし続いたあと、やっと始まる。
娘の釈放の感想、7年間どんなに心配だったか、などを話した後、面白かったのが、メキシコに対する思いを尋ねられたのに対し、シャルロットが「恨みはないわ。もちろん、一部の人が娘を大変傷つけたことは確かだけど、メキシコには良心的な人もたくさんいる。何処でも同じでしょ、それは。悪人もいれば善人もいる。On ne peut pas généraliser(メキシコ人を十把一絡げに評価することはできない)。だから、私の心には恨みとか復讐という感情は全くないのよ」と、静かにしみじみと答えたあと。
シーーーン。
あんなに白熱していた会場が、数秒間静まり返った。期待していた答えと違ったのか。これじゃセンセーショナルな記事が書けないのか。「それを言われちゃ、おしまいよ」ってか。当の母親は聖女のような顔で次の質問を待っているので、この不思議な「間」に、オットと思わず大笑い。
さて、騒ぎは翌24日も続いた。何しろフロランスを乗せた飛行機が戻ってくるのだから。寒い中、空港で着陸を待ち続ける各局の取材人たち。出迎えにはファビウス外相も駆けつける。オランド大統領からは「疲れてなければ今日にでもエリゼ宮に迎える」とのメッセージ。ニュースチャンネルからは「我がTV局のレポーターが一人、フロランスと飛行機に同乗していますっ!」と自慢げな声。
でもね、それほどの扱いに値する出来事なのかな。外国で捕まって裁判の結果釈放されて帰ってきた。たとえ誤審だったとしても、相手は(一応)法治国家。それが、テロリストから解放された人質の出迎えに匹敵する仰々しさ。国を挙げての大騒ぎ。なんか、ちょっと、桁が外れている気がするのは私だけか。。。
【仏メディア 後編】につづく
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Friday, January 25, 2013
魔女フロランス・カセと謎のエオラス弁護士
![]() |
| 24日夜テレビ番組に出 演したフロランス・カセ |
自動車販売員だと思って一緒に暮らしていた当時のメキシコ人の恋人が、実は誘拐を生業とするギャングのボスで、2005年、彼女は、誘拐の共犯者として、恋人と一緒にメキシコで逮捕された。
彼女は初めから無罪を主張。ここ7年の間に何度も釈放の審理などが開かれ、その度にフランス中が固唾を飲んで見守ってきたが、メキシコの最高裁は毎回、釈放の申し立てを棄却してきた。
フロランスの潔白を信じるフランスの政界・芸能界の人物は多く、フランスでは強力な「支持する会」が出来上がっており、2011年には、当時のサルコジ大統領がフランスの「メキシコ年」の祭典をすべてキャンセルして、事態は外交問題にまで発展していた。
無罪であるならば、なぜこんなに拘禁が長引いたのか。なぜ、こんなにメディアに騒がれる事件となったのか。
私見ではあるが、私は、フロランスのプロフィールや容姿が大いに影響していると感じる。
彼女は長身で色白の美人。髪はまぶしいほどの赤毛。そして勝気なフランス女性。これだけ揃えば、黙って道を歩いているだけでも注目される。その上、犯罪という匂いが漂えば「魔性」の要素が加わり、世論は食いつく。
現代の「魔女狩り」。メキシコでは誘拐事件の被害者は後を絶たない。警察は無能のレッテルを貼られないためにも「犯人」が必要だ。そして見つけた。マフィア検挙よりも手っ取り早いカモを。
フロランスの逮捕の様子を「ライブ中継」と偽って、ヤラセの場面* をメキシコのTV局に報道させた。誘拐被害者の家族たちの怒りの矛先は一気にこの「おフランスの赤毛の魔女」に向かった。
一度犯人像が具体化してしまうと、誤審であろうが人違いであろうが「離してなるものかっ」と必死になるのが被害者側の心理。肉親を失った悲しみが深いだけにわからなくはない。一方、警察関係者は、でっち上げが証明されればそれこそヤバイ。この事件では、各関係者たちの利害が絡み合って、事態を紐解くのに時間が掛かってしまった。。。とまぁ、こんなところかな。
経緯説明が長くなってしまったが、本題の釈放劇。
23日夜、子どもたちをバタバタと寝かしつけ、フロランスの釈放の審理をメキシコからの生中継で追うべくテレビの前へ。
ちょうど、5人中4人目の判事が弁論中。スペイン語から仏語への同時通訳が入っているが意味不明。途中で入るニュースキャスターの解説もあやふや。どうやら彼らも解釈が追いつかないらしい。
仕方なくネットへ。主要メディアのネット・ライブ中継。釈放への得票が2対2となったところで、テレビでは5人目の判事が弁論を始める。この判事はずっとフロランス支持だったというし、この判事は釈放に「賛成」なはずだからもうこれで3対2で釈放確定じゃないの?と思っていたが、そう単純なことではないらしい。ワカラン。
そして気付いた。レクスプレス誌(lexpress.fr)のライブ中継がメートル・エオラス(Maître* Eolas)のツイートをそのまま載せていることに。そうだ、その手があった。
すぐにエオラス弁護士のツイッターに直行。そして大先生のおかげで分かりました。このまま行けば単純に釈放とはならず控訴審のやり直しとなること。それを避け、フロランスを即時釈放に持っていくために、5人目の弁護士が当初の案を修正する方向で熱弁していて、その修正案をもとにもう一度5人の意見を聞くという提案を土壇場でしていること。そして、結局、大先生いわく「大逆転劇」でフロランスが完全に自由の身となったこと。
ツイート・フォロワーが「でも、ルモンドやリベラシオン紙では控訴審を待つ間の仮釈放だって言ってるよ」と質問すれば「それは間違い。ジャーナリスト達はまだ元の案に基づいて判決を解釈している。控訴審はないよ」と答え「でも、訴訟に不手際があっただけで無罪が証明されたわけではないんでしょ?」との質問に対しては「事件ファイルの内容があまりにも滅茶苦茶なので裁判自体が初めから成り立たないという判決。よって証明されるべきは彼女の有罪であって無罪ではない」と直ちに答える。
(注. 会話は覚えている内容なので原文どおりではない)
「先生、どうしてそんなに詳しいの?」には「それはね、生で審理を追ってるからさ!」と、現場にいるんだかみんなと同じようにTVで見てるのかわからない謎の発言。ちなみに、奥さんはスペイン人だということだが、本人も完全にスペイン語を理解している様子が会話から窺える。
おそるべし、メートル・エオラス。彼については一度ブログでも紹介しようと思っていたのだが、簡単に言うと、匿名の弁護士でフランスのツイッター王。一般のファンはもちろん、政治家やジャーナリストで彼をフォローしていない者はない。フォロワー10万人近く。私もファンの一人。
仏ウィキペディアにも謎のツイッターとしてページが存在する。エオラスは仮名。ツイッターのプロフィール・アイコンは「トトロ・バット」(こうもり型トトロ)。彼の辛辣な世情の分析、コメント、反論者への皮肉をこめた切り替えし、ユーモアとウィットに富んだフォロワーへの返信は失笑噴飯もの。
それにしても、いくら人気者とはいえ、正体不明とされるツイッター人物のコメントをそのままライブ中継するとは、、。仏メディアよ、大丈夫か。もうちと、しっかりしてくれぃ。
* ヤラセは警察、番組関係者が白状している
* Maître は弁護士の名の前につく敬称で一般人の Monsieur や医師の Docteur と同じ用法。
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Sunday, January 20, 2013
アルジェリア人質事件が終って …
ふぅー。
ニュースの話題はアルジェリアで起きた天然ガスプラントの人質拘束事件ほぼ一色、仏語で言えばとても「intensive」な週だった。
事件のいきさつは、フランスのマリにおける戦争の「とばっちり」を受けた形で日本人も巻き添えになってしまったため、日本語でも情報が多いのでここでは省略する。
昨日、アルジェリア軍による「強行突破」が予想通り実行され、残った人質もろとも、テロリストたちは全員鎮圧(殺害)され、占拠事件は幕を閉じたのだが・・・
独断と偏見で今私の思っていることを言いたい。
① オランドは内心 胸をなで下ろしていることだろう
カダフィ政権崩壊後、無法者の行き来が自在となってしまったリビアとの国境付近にあるこのガスプラント。イスラム武装勢力によって、前々から「占拠」が準備されていたと仮定しても、実際に事件が起きたのは仏軍のマリでの参戦がきっかけであろう。少なくとも格好の口実にはなった訳だ。
日本を含めた「西洋」諸国の民間人の人質多数。何の罪もない働く人たち。情報が錯綜する中、当初はフランス人人質の数も不明であったが…。
結局は早い段階で仏人人質一人死亡。もともと仏人は4人くらいと少なかったようだが、土曜の朝、日本人を含めた外国人人質7人がまだ残っているといわれている時点で、ルドリアン国防相は「フランス人の人質はもういな~い」と発表した。
この発表に、オランド大統領、そしてフランス人全般の心境を見た気がする。形としては、自ら起こした戦火の火の粉が散って他国の民間人に「迷惑」が掛かってしまった。しかし、マリで始めたこの戦争は止める訳にはいかない。そのためにはフランスの世論も味方についていないと困難だ。
ガスプラントで囚われ殺された人質が10人単位でフランス人だったら?アルジェリア軍が強行突破せず、交渉が長引き、10~20人のフランス人人質の家族が連日メディアに登場し世間の涙を誘うような証言とともに「息子を、夫を助けて!」と訴え続けていたら。。。
実際、米英日やノルウェーなどが「人命第一に!」と声をあげる中、オランド大統領は表向き「アルジェリア政府を信頼」と発言、静観の姿勢を崩さなかった。作戦強行後も「最も適切なやり方だった」と、のたまう。
オランド大統領が冷血漢であるという意味ではないが、今回の事態の展開は、オランド氏にとって「都合が良かった」ことは間違いない。こちらの言葉で、皮肉たっぷりに il s’en sort bien ! と言いたい。
② フランスの世論
戦争は残酷だ。人の心から「人間性」が薄れる、という意味で。大義名分のためには普通の人々の心が鬼にもなる、それが戦争なんだなぁって。
世論、といっても正式な調査があるわけではなく、主にニュースに対する読者のコメントやツイッター等から判断するに。
今回のアルジェリア軍のテロリストに対する強硬姿勢、人質の命は見捨てた作戦に、フランスの人々は好意的。主権国家としての誇りを持ったアルジェリアの正しい選択、身代金で武器を購入する → また人質を取るという連鎖を断ち切るべき、犠牲やむなし、との意見が花盛りだ。
でも、やっぱり、それは「花屋さんの息子のいとこの婚約者のお兄さんが人質のいる会社の取引先で働いてるんだって」「隣町の町長さんの秘書の旦那さんの同僚の知り合いが捕まってるんだって、心配だねー」と、巷で話題にならないからなのでは、と単純に思ってしまう。身近じゃなければ痛くない。
ちょうど2年前、今回ガス施設を狙ったモクタール・ベルモクタール率いる同じ一味にフランス人協力隊員の若者2人がニジェールで拉致された時、あどけなさの残る顔写真と父母の憔悴した様子がテレビに映し出されて世論はもっと同情的であった記憶がある。
当時のサルコジ大統領が強攻策に出て、結局は仏部隊の空爆により犯行グループと一緒に若者2人も殺害されてしまったわけだが、「やむなし」との意見は一部で根強かったものの、総じてサルコジの勇み足を批判するものだったのに。
(まー、単純な反サルコジ感情もあったのだろうけど)
③ アルジェリア
1962年、19~20世紀130年にわたるフランスの植民地支配から血みどろで脱却。
90年代のすべてをイスラム主義テロリストとの内戦に捧げ、2002年に武装イスラム集団(GIA)が降参するまで6万~15万人の犠牲者を払いながら国の安泰を一人で勝ち取ってきた。
今回、アルジェリアが歴史上、立場上、作戦を強行せざるを得なかったのは、頭では理解できる。さもあらん、と思う。
誰の手も借りない。協力を受け入れたりして「大国の手先」とのレッテルを貼られるのは我慢ならない、ましてや旧植民国の世話にはならない。外国人が巻き込まれていようが、自国で起こった出来事は自分たちの手で、自分たちのやり方で解決する。今まで通り「テロリストとは交渉しない」。
筋は通っているし、潔い。しかし、しかし、、、
深手を負ったトラが癒しきれていない傷をかばいながら立ち上がり、近寄ろうとするものを突っぱねて毅然と歩こうとしているのに似ていて、ある意味、痛々しい。
国際社会はそんなに捨てたものか。国際関係におけるリアリズム健在か。国際協力は駆け引きでしかないのか。特殊部隊のノウハウも最新鋭の技術開発も、結局すべては自国の利益を守るためだけのものなのか。他国よりも優位に立つために。建前や計算無しに、見返りを求めない外交や国際協力なんて、やっぱり夢物語。人間界では到底無理なことなのだろうなぁ。
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Monday, January 14, 2013
ただいま戦争中。 仏 vs「?」
戦争と平和。
パリでのほほんと暮らす分には生活上実感は沸かないが、金曜夜からフランスは平和な国ではなくなった。
軍事介入と言ってしまうと人ごとに感じられるが、実は、目下国を挙げて戦争中。
オランド大統領は11日夜、国連の容認を受けて国が戦闘態勢に入ったと、全国民に正式に発表した。
そこでQ&A。
誰と戦っているの?
近年の戦争は国vs国という従来の形態を取らないことも多い。
仏軍の対戦相手はアフリカに巣くっている複数の武装イスラム過激組織。
《マリ共和国において》
・Mouvement pour l'unicité et le djihad en Afrique de l'Ouest (MUJAO)「西アフリカ統一聖戦運動」
・Al-Qaida au Maghreb islamique (AQMI) 北アフリカ(マグレブ)のアルカイダ系組織(英表記AQIM)
・Ansar Eddine マリのイスラム主義組織「アンサール・アッ=ディーン」。イスラム法(シャリア)に基づいたの国の建設を目指す。2012年夏にマリの北部でユネスコ指定の世界遺産であるモゾレ(霊廟)を次々に破壊したのはこの組織。
↑ この3組織はマリ北部を支配するイスラム原理主義勢力やトゥアレグ族(砂漠遊牧民)の武装集団で、今回結束してマリの南部に総攻撃を仕掛けてきた。
《ソマリアにおいて》
・Al-Shabbaabソマリアのイスラム武装勢力、アル・シャバブ。アルカイダの一派。Shebab(シェバブ)とも呼ばれる。
どこで?
アフリカの西に位置するマリ共和国北部と、アフリカ東部のソマリア連邦共和国。
この2国への同時介入について、政府は「関連性はない」と発表している。エロー首相いわく「条件さえ整っていればソマリアでの作戦はもっと早くに行われていただろう」。
どうして?目的は?
マリのディオンクンダ・トラオレ(Dioncounda TRAORE)暫定大統領がフランスのオランド大統領に頼んだから。
マリ北部のイスラム主義勢力が一気に南下してきたため、マリ国軍だけじゃ抑え切れないから武力を貸して!と直接要請した。(首都バマコはマリ南部に位置する)
オランド大統領は国連の安全保障理事会に「マリ共和国の要請を受け、テロリスト分子と戦うために、仏軍はマリの部隊を支援する」と知らせた。この軍事介入は、主に国連憲章51条の『自衛権』に基づく、と外交筋は伝えている。
まぁ、表向きはどうであれ、要は、アフリカの外交政策的にも重要なマリほどの友好国が国家として機能しなくなり崩壊するのを、フランスとしては指くわえて眺めているわけにはいかないのだ。
マリがイスラム主義武装勢力の手に落ちれば、近隣諸国も揺るぐことになり、マリの隣国ニジェールやモーリタニアにはフランス企業が関わるウラン採掘産業もあることから(フランス原発の資源)、この地域がアフガニスタン化すのを断固阻止しなければならない。
ただでさえマリ政府は国の北半分のコントロールを失っている。おまけに、AQMI やトゥアレグ族武装勢力はフランス人の人質を8人も捕らえたままだし、ナメられたままではフランスの沽券に関わる、ってとこだろう。
ちなみに、なぜ「暫定」大統領かというと、昨年3月、「北部の武装反乱勢力に対して手ぬるい!」と、一部の軍人の手によってトゥーレ前大統領が追放され、新たな大統領選挙が行われるまでの間、国民議会議長であったトラオレ氏が暫定的に大統領に就任しているから。
一方、ソマリアでは、シェバブの人質になっているフランス人男性を解放しようと、前々から計画が練られていた。人質は3年前に捕らえられたフランスのDGSE(対外治安総局)の情報員(スパイ)。
なぜフランスが手伝うの?
フランスは歴史上、主に過去の植民地支配の経緯から、アフリカ西部の国々と深く繋がっている。
今回、マリのトラオレ暫定大統領はオランド大統領に直接呼びかけ、オランド大統領は「友好国であるマリ共和国自体の存続、マリ国民とマリ在住の仏国民の安全が脅かされている」として引き受けた。
また、フランスはチャドやコートジボワールに仏軍基地を有しており、ロジスティクス面でも機敏に対応できるという利点がある。
オランド大統領は、仏軍の武力行使はあくまでマリ国軍に対する支援に留まるべきである、と慎重に明言している。
セルヴァル作戦って何?
Opération Serval 。現在マリで展開中の軍事作戦名。
アフリカの砂漠に生息するネコ科の動物サーバル(Serval)にちなんで。
他の国は参加しないの?
当初、フランスは外部の戦力として参戦した唯一の国であったが、マリ軍幹部によればCEDEAO西アフリカ諸国経済共同体(英表記ECOWAS)の統合軍事力にはセネガルとナイジェリアの兵士も含まれるという。
国連安保理は西アフリカ諸国の兵士3300人で構成される連合軍の編成を承認。この連合軍は西洋諸国の後方支援を受けることになる。
その他、ブルキナファソやニジェールが援軍を配備すると発表。
アメリカは後方支援や無人航空機(drone)の提供などをする準備がある。
イギリスも、兵士は出さないがロジスティクス面で協力すると13日申し出た。
フランスの介入が「植民地主義的」と反感を生まないためにも、アフリカ諸国の軍勢が参加することは、フランスにとって大きな意味がある。
勝てるの?
武力装備の点では先進国の軍隊とトゥアレグ族の武装集団では比較にならないと思うが、後者はマリ北部の都市をほぼ支配下においており、広大な砂漠の中で土地勘と拠点を持つ。また、AQMIは2年前よりフランス人の人質を数人捕獲しており、長期戦となる可能性あり。
仏国防相ルドリアン氏は「必要な限りいつまででも続ける」と発表している。
今までの成果は?
《マリ》
初っ端に仏軍のヘリコプター操縦士一人を失ったものの持ち直し、13日にはオランド大統領は「イスラム主義勢力の侵攻を食い止めた。敵軍に大きな打撃を与えた」と発表。14日朝にはトンブクトゥやガオなどの北部重要拠点を集中攻撃している。
《ソマリア》
11日、情報員Denis Allex(おそらく仮名)の救出作戦は失敗。救出実行の際に仏軍に二人の犠牲者が出たほか「状況から見て、人質は処刑されたであろうと強く推察される」とルドリアン仏国防相が発表。
国内で反対している人は?
少数の反対意見を除いては、左右ともにおおむねフランスの軍事介入を支持している。
反対の声をあげているのは左翼党PGのジャンリュック・メランション氏とヨーロッパエコロジー・緑の党EELVのノエル・マメール氏。二人とも議会に事前相談なしに介入が決まったことを非難。メランション氏はアフリカの問題に外部からの軍事介入することも疑問視。
また、右派からは元首相のドミニク・ドヴィルパン氏が12日、「成功する見通しも立っていないのにフランスが軍事介入すること」に反対する声をあげている。
政治レベルの反対者ではないが、忘れてはならないのが2010年9月よりアフリカのマリ北部も含むサヘル(Sahel)地域でイスラム主義武装集団に抑留されている仏人の人質8人の家族たち。人質は民間人。
8人のうち少なくとも6人は直接AQMIに囚われていると推定され、今回の軍事介入により、人質たちの命は今までになく危険にさらされることになる。ソマリアでの人質救出失敗も起きているだけに、フランスで待つ家族たちの心配は想像に余りある。
私たちの日常生活に変化はあるの?
14日朝「フランスの要所を攻撃してやる!」と、西アフリカ統一聖戦運動(MUJAO)が報復を予告したように、今回の軍事介入によって、フランス本土におけるテロ発生の可能性が存在する。
Plan vigipirate と呼ばれるフランス国内の警戒態勢のレベルが、12日夜より、今までの「赤」から「rouge renforcé 濃い赤」という、今回新しく作ったレベル に引き上げられた。(最高レベルはécarlate 緋色」なので赤と緋色の中間、ということか)。
具体的には今までとあまり変わらないが、軍事施設や宗教施設、人の多く出入りする場所などの監視がさらに強化されるという。
大きな駅などで機関銃持ってパトロールしている兵隊さんの数が増えるのかな。
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Wednesday, March 2, 2011
ロンドン五輪、アフマディネジャド氏お怒りです
さて、中東ではリビアのカダフィー政権崩壊寸前、イランでも昨日は前日に拘束された改革派リーダーのムサビ、カルビ両氏の釈放を求めて首都テヘランを含めた数都市で大規模なデモ活動が展開、治安部隊の弾圧も一層強まり緊張が続く。
そんな雰囲気の只中で、イランのアフマディネジャド大統領は、来年開催予定のロンドン五輪をボイコットする!などと鼻息が荒い。その原因は、五輪のロゴマーク。2012の数字をデザイン化したものだが、それが大統領によればZIONとも読めるそうで・・・。
ZION(シオン)はイスラエルの地エルサレムを指す言葉であり、イスラエル国家の存在を認めていないイランからみると、このロゴは世界のムスリムに対する人種差別であって、イランを含めたイスラム教の国々は五輪をボイコットする可能性があると主張。(2月28日)
一方、ロンドン側は、2007年に発表されたこのロゴマークに対する今さらの抗議に「?????」な様子。オリンピック主催者にとっては、このロゴはもちろん単なる数字でしかない。
まー、中東情勢の混迷で体勢が不利になる中、西洋とイスラムの一層の対立を狙ったアフマディネジャド氏の挑発行為であることは、誰もが感じてはいるのだが。
ひとつだけ言えることは、このロゴ、成功作とは言えないという点だろうか。正直、イマイチである。
その醜さに耐えかねて「ユダヤ陰謀説」を持ち出してきたとすれば、アフマディネジャド大統領の美的感覚は、ティオールのデザイナー ジョン・ガリアーノ氏のスピリット*に通ずるものがあるのかも、などと、妙な連想さえ掻き立てられるニュースであった。
(*おとといのブログ記事「ジョン・ガリアーノと酒癖の悪さ」参照)
そんな雰囲気の只中で、イランのアフマディネジャド大統領は、来年開催予定のロンドン五輪をボイコットする!などと鼻息が荒い。その原因は、五輪のロゴマーク。2012の数字をデザイン化したものだが、それが大統領によればZIONとも読めるそうで・・・。
ZION(シオン)はイスラエルの地エルサレムを指す言葉であり、イスラエル国家の存在を認めていないイランからみると、このロゴは世界のムスリムに対する人種差別であって、イランを含めたイスラム教の国々は五輪をボイコットする可能性があると主張。(2月28日)
一方、ロンドン側は、2007年に発表されたこのロゴマークに対する今さらの抗議に「?????」な様子。オリンピック主催者にとっては、このロゴはもちろん単なる数字でしかない。
まー、中東情勢の混迷で体勢が不利になる中、西洋とイスラムの一層の対立を狙ったアフマディネジャド氏の挑発行為であることは、誰もが感じてはいるのだが。
ひとつだけ言えることは、このロゴ、成功作とは言えないという点だろうか。正直、イマイチである。
その醜さに耐えかねて「ユダヤ陰謀説」を持ち出してきたとすれば、アフマディネジャド大統領の美的感覚は、ティオールのデザイナー ジョン・ガリアーノ氏のスピリット*に通ずるものがあるのかも、などと、妙な連想さえ掻き立てられるニュースであった。
(*おとといのブログ記事「ジョン・ガリアーノと酒癖の悪さ」参照)
Sunday, February 27, 2011
サルコジ大統領TV演説、アリヨマリ外相更迭
週末の間中、アリヨマリ外相(MAM)の追放が確実との情報が飛び交う中、日曜夜8時よりサルコジ大統領の全国民に向けたラジオ・テレビ演説が始まった。この演説中にMAMの後任者を含めた改造内閣が公式発表されると誰もが知っていたが、演説の目的は、表向きには「世界情勢と移民問題について」と銘打たれていた。
個人的には、しばらく大統領演説なるものを意図的に見ていない。正直、このムッシュに関しては飽和状態で、彼の話し振りにますます空回り的なものを覚えているから。
でも、今晩は、演説の表向きのテーマと、内閣改造をどう発表するかに興味をそそられ、運よく子どもたちもベッドに送り込めたので、ワイン片手にテレビの前に陣取った。
ラ・マルセイエーズ(国家)のオープニングに引き続き、国旗と書棚をバックに大統領の姿が現れた。いつも落ち着きなく動き回る手や腕を写さないための胸から上のフレーミングか?などと余計なことに気づく。
さて、本題。予想通り、年末より沸騰中の地中海南岸の状況からスピーチは始まり、この喜ばしい民衆の自由への目覚めによりヨーロッパへと移民が大量に流入してはならない、と続いた。そして、「このような新しい世界情勢にきちんと対応するべく、外務大臣としての経験もある有能なアラン・ジュぺAlain Juppé防衛相を新たに外務大臣に任命する」ときた。
そして、驚いたことに、MAMに関しては、その名前にすら触れなかった。MAMの相次ぐ失態が内閣改造につながったという、言及しづらい事柄に対し、本人はうまくかわしたつもりであろうが、なんとも情けないスピーチの持って行き方。
この内閣改造のついでに、アラブ人に対する差別発言で有罪判決を受けているブリス・オルトフBrice Hortefeux 内務大臣も内閣から外れ、サルコジ大統領の特別顧問のポストに移った。
その他、少数の大臣入れ替えを発表し、座礁している地中海連合Union pour la méditerranée*の再生に言及し、どことなくバツの悪さを隠しきれないまま、演説は数分でサクサクと終了したのだった。
*今は遁走したベンアリ&ムバラク元大統領たちを2本柱として、サルコジ大統領が2008年に設立した、欧州と地中海沿岸の国々を集めた連盟。
個人的には、しばらく大統領演説なるものを意図的に見ていない。正直、このムッシュに関しては飽和状態で、彼の話し振りにますます空回り的なものを覚えているから。
でも、今晩は、演説の表向きのテーマと、内閣改造をどう発表するかに興味をそそられ、運よく子どもたちもベッドに送り込めたので、ワイン片手にテレビの前に陣取った。
ラ・マルセイエーズ(国家)のオープニングに引き続き、国旗と書棚をバックに大統領の姿が現れた。いつも落ち着きなく動き回る手や腕を写さないための胸から上のフレーミングか?などと余計なことに気づく。
さて、本題。予想通り、年末より沸騰中の地中海南岸の状況からスピーチは始まり、この喜ばしい民衆の自由への目覚めによりヨーロッパへと移民が大量に流入してはならない、と続いた。そして、「このような新しい世界情勢にきちんと対応するべく、外務大臣としての経験もある有能なアラン・ジュぺAlain Juppé防衛相を新たに外務大臣に任命する」ときた。
そして、驚いたことに、MAMに関しては、その名前にすら触れなかった。MAMの相次ぐ失態が内閣改造につながったという、言及しづらい事柄に対し、本人はうまくかわしたつもりであろうが、なんとも情けないスピーチの持って行き方。
この内閣改造のついでに、アラブ人に対する差別発言で有罪判決を受けているブリス・オルトフBrice Hortefeux 内務大臣も内閣から外れ、サルコジ大統領の特別顧問のポストに移った。
その他、少数の大臣入れ替えを発表し、座礁している地中海連合Union pour la méditerranée*の再生に言及し、どことなくバツの悪さを隠しきれないまま、演説は数分でサクサクと終了したのだった。
*今は遁走したベンアリ&ムバラク元大統領たちを2本柱として、サルコジ大統領が2008年に設立した、欧州と地中海沿岸の国々を集めた連盟。
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Friday, February 25, 2011
フランス外交ぬかるみにはまる
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中東情勢もますます緊迫化し、各国の外交手段が試される時だというのに、フランス外交は内紛状態。サルコジ政権にとっては、一年後に再選を狙うためにはここが正念場だというのに、外交部門ではエンジンの内部故障が相次ぎなかなか前に進めない状態。
おととい、groupe Marly なる匿名の外交官グループがル・モンド紙にサルコジ政権の外交政策を批判する論説を出したとこのブログで取り上げたが、これに呼応する記事が、昨日、今度はル・フィガロ紙に掲載された。
「匿名の外交官たちへ」‘Réponse aux diplomates anonymes’と題されたこの記事だが、これまた ‘Le Rostand’ と名乗るやはり匿名の外交官グループにより「署名」されている。
皮肉もふんだんに用いたその内容は、groupe Marlyのメンバーを昔の外交に固執した時代遅れの自信過剰者たち扱いした上で、国の経済的崩壊回避、EU議長国の遂行、グルジアの独立を保護などなど、新しい「行動派」政策による具体的な「成果」を挙げながらサルコジ氏のこれまでの外交政策を強力に擁護している。さらに、匿名のMarly集団の影にPS(仏社会党)の存在を匂わせている。
同じ日、サルコジ大統領顧問のアンリ・ゲノHenri Guaino氏が、groupe Marly の主張を一笑に付した上で、この論説は大統領選に向けての「政治キャンペーンのビラ」に過ぎないとラジオで反論。
そして、今日、アリヨマリ外相が、ル・モンド紙上に同じような趣旨の反論を載せ、groupe Marly を「名乗りもしない意気地なし」呼ばわりしながらサルコジ氏の外交政策を賛美している。
そのアリヨマリ氏だが、皮肉なことに、いよいよサルコジ氏に外務大臣を辞任するよう諭されたと各メディアが発表。遅くても週明けの月曜日には新たな大臣が任命される見通しとか。そして、ル・パリジャンLe Parisien の情報によれば、アリヨマリ外相はサルコジ大統領に辞任の意図はないと返答したとのこと。どうなることやら。
ちなみに、アリヨマリ外相は、チュニジア政権崩壊の直前に政権側にデモ隊を取り締まる協力を申し出てひんしゅくを買ったほか、元ベンアリ政権との緊密な関係を非難されている。
中東情勢もますます緊迫化し、各国の外交手段が試される時だというのに、フランス外交は内紛状態。サルコジ政権にとっては、一年後に再選を狙うためにはここが正念場だというのに、外交部門ではエンジンの内部故障が相次ぎなかなか前に進めない状態。
おととい、groupe Marly なる匿名の外交官グループがル・モンド紙にサルコジ政権の外交政策を批判する論説を出したとこのブログで取り上げたが、これに呼応する記事が、昨日、今度はル・フィガロ紙に掲載された。
「匿名の外交官たちへ」‘Réponse aux diplomates anonymes’と題されたこの記事だが、これまた ‘Le Rostand’ と名乗るやはり匿名の外交官グループにより「署名」されている。
皮肉もふんだんに用いたその内容は、groupe Marlyのメンバーを昔の外交に固執した時代遅れの自信過剰者たち扱いした上で、国の経済的崩壊回避、EU議長国の遂行、グルジアの独立を保護などなど、新しい「行動派」政策による具体的な「成果」を挙げながらサルコジ氏のこれまでの外交政策を強力に擁護している。さらに、匿名のMarly集団の影にPS(仏社会党)の存在を匂わせている。
同じ日、サルコジ大統領顧問のアンリ・ゲノHenri Guaino氏が、groupe Marly の主張を一笑に付した上で、この論説は大統領選に向けての「政治キャンペーンのビラ」に過ぎないとラジオで反論。
そして、今日、アリヨマリ外相が、ル・モンド紙上に同じような趣旨の反論を載せ、groupe Marly を「名乗りもしない意気地なし」呼ばわりしながらサルコジ氏の外交政策を賛美している。
そのアリヨマリ氏だが、皮肉なことに、いよいよサルコジ氏に外務大臣を辞任するよう諭されたと各メディアが発表。遅くても週明けの月曜日には新たな大臣が任命される見通しとか。そして、ル・パリジャンLe Parisien の情報によれば、アリヨマリ外相はサルコジ大統領に辞任の意図はないと返答したとのこと。どうなることやら。
ちなみに、アリヨマリ外相は、チュニジア政権崩壊の直前に政権側にデモ隊を取り締まる協力を申し出てひんしゅくを買ったほか、元ベンアリ政権との緊密な関係を非難されている。
リビア、軍事介入か否か、そこが問題だ
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リビア入りすることが出来たジャーナリストが増えたとはいえ、まだまだ不透明な情勢のリビア。ただ、①体制に抗議する市民たちに対する武力弾圧が激しくなっていることと②リビア東部だけではなく西部の首都トリポリ付近の町や村も次々と反体制派により解放され、カダフィ大佐はますます孤立していることだけは確かな様子。
フランスの人権大使のフランソワ・ジムレー氏が語るように、問題は「もはやカダフィ氏が退陣するか否かではなく、いつ去るのかという」点であり、国際社会の関心事は「人道に対する罪が行われていると推察される」という点だ(ロイターのインタビュー2月24日)。
デモ隊に対する容赦ない武力行使を野放しにできるのか?無防備なリビア市民を世界中が見殺しにするのか?国連軍やNATOの介入は必要ではないのか?…
もっともな疑問が頭をよぎる。
しかし、市民を救うという目的とはいえ、中長期的に考えた場合、軍事介入は果たして効果的であろうか?
この疑問に対し、Le Monde Diplomatique の近東専門家 Alain Gresh 氏は昨日Faut-il intervenir militairement en Libye ? (リビアへの軍事介入は必要か)と題するブログ記事を出した。
即刻軍事介入派の意見に対しGresh氏は「列強の軍事介入行為はまさにカダフィやアルカイーダなどのイスラム主義者たちの思う壺だ。そら、外国人が国を乗っ取りに来た!そら、十字軍が攻めて来た!と逆手に利用されかねない」という反論を取り上げ、自らも「イスラエルのガザ攻撃やNATO軍のアフガニスタン爆撃時には誰も止めようとはしなかった」「イラクへのアメリカ軍による介入の結果は、8年後の今、とても成功とは言い難い」と外部からの軍事介入には懐疑的だ。
では、どうすればよいのか?
Gresh氏:まず、国連指揮下の軍事介入は必ずしも効果的でないことを認めるべき。チュニジア・エジプトのケースでは外部干渉なしで市民運動が勝った。また、「国家主権souveraineté nationale」に係わる問題で、今回初めてメンバー国を禁止したアラブ連盟にも注目したい。このような断固とした態度はリビア国内の派閥の亀裂を強めて内部からの崩壊を加速する。
いずれにしても、リビアの石油資源やリビアのアフリカ移民抑止力を称えて、独裁政権と知りながら、今までさんざんリビア政権を武器輸出など軍力的にも援助してきたヨーロッパを始めとする列強が、この状況下で介入することは好ましくない。
私もGreshさんの聡明な分析に賛成ではあるが、その間、自由の「代価」として毎日失われている尊い命たちを見殺しにしているようで何ともやりきれない…。
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リビア入りすることが出来たジャーナリストが増えたとはいえ、まだまだ不透明な情勢のリビア。ただ、①体制に抗議する市民たちに対する武力弾圧が激しくなっていることと②リビア東部だけではなく西部の首都トリポリ付近の町や村も次々と反体制派により解放され、カダフィ大佐はますます孤立していることだけは確かな様子。
フランスの人権大使のフランソワ・ジムレー氏が語るように、問題は「もはやカダフィ氏が退陣するか否かではなく、いつ去るのかという」点であり、国際社会の関心事は「人道に対する罪が行われていると推察される」という点だ(ロイターのインタビュー2月24日)。
デモ隊に対する容赦ない武力行使を野放しにできるのか?無防備なリビア市民を世界中が見殺しにするのか?国連軍やNATOの介入は必要ではないのか?…
もっともな疑問が頭をよぎる。
しかし、市民を救うという目的とはいえ、中長期的に考えた場合、軍事介入は果たして効果的であろうか?
この疑問に対し、Le Monde Diplomatique の近東専門家 Alain Gresh 氏は昨日Faut-il intervenir militairement en Libye ? (リビアへの軍事介入は必要か)と題するブログ記事を出した。
即刻軍事介入派の意見に対しGresh氏は「列強の軍事介入行為はまさにカダフィやアルカイーダなどのイスラム主義者たちの思う壺だ。そら、外国人が国を乗っ取りに来た!そら、十字軍が攻めて来た!と逆手に利用されかねない」という反論を取り上げ、自らも「イスラエルのガザ攻撃やNATO軍のアフガニスタン爆撃時には誰も止めようとはしなかった」「イラクへのアメリカ軍による介入の結果は、8年後の今、とても成功とは言い難い」と外部からの軍事介入には懐疑的だ。
では、どうすればよいのか?
Gresh氏:まず、国連指揮下の軍事介入は必ずしも効果的でないことを認めるべき。チュニジア・エジプトのケースでは外部干渉なしで市民運動が勝った。また、「国家主権souveraineté nationale」に係わる問題で、今回初めてメンバー国を禁止したアラブ連盟にも注目したい。このような断固とした態度はリビア国内の派閥の亀裂を強めて内部からの崩壊を加速する。
いずれにしても、リビアの石油資源やリビアのアフリカ移民抑止力を称えて、独裁政権と知りながら、今までさんざんリビア政権を武器輸出など軍力的にも援助してきたヨーロッパを始めとする列強が、この状況下で介入することは好ましくない。
私もGreshさんの聡明な分析に賛成ではあるが、その間、自由の「代価」として毎日失われている尊い命たちを見殺しにしているようで何ともやりきれない…。
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Wednesday, February 23, 2011
リビア、引き続き…
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おととい、ベネズエラへ亡命か?との噂も流れ、「カダフィ大佐が退散中…」と書いたが、やはり一筋縄ではいかない。
カダフィ大佐はちゃんとリビアの首都トリポリにいて、昨日の夕方はテレビ中継にて国民に呼びかけた。晩年はますますエキセントリックな人物として知られていたけれど、語る姿はやはり尋常ではない。
この様子を見る限り、ベンアリやムバラク前大統領たちのように亡命や引退など考えられない。国が滅びようと最後まで戦いぬく意気込み。背筋が寒くなる。
そして、姿はもとより仰天するのがスピーチの内容。「リビアの民よ、反乱分子と戦え、今夜より戦闘機材を準備する」などと国民同士の内戦を促している。昨日の朝からの情報によれば、すでにあちらこちらで戦闘機による空爆や地上戦による被害者が続出している。
しかし、新聞記者が締め出されているので、情報が乏しく、殺戮の度合いが懸念される。しかも、カダフィに雇われた多数のアフリカ人傭兵の仕業により死者が続出しているという。今日になってようやく、各国のジャーナリストたちがチュニジアやエジプト国境から「非合法に」進入できた模様。情報が少しずつ増えてきた。ル・モンドのジャーナリストも潜入できた様子。
明らかに市民の虐殺が懸念されるというのに、国連安保理は昨日一日中話し合った結果「暴力行為を非難」する声明を発するにとどまり、非常事態だと言うのに国連軍介入などの具体案はなし。やはり、中国、ロシアの尻込みか。
一方で、世界各国の外交官をはじめ、陣地がえを発表するリビア高官は後を絶たない。遅かれ早かれカダフィ体制の行く末は明らかなだと思われるのに、毒を食らわば皿まで?
それともまだ体勢を立て直せると思っているのだろうか。今日、副外相がリビア東部のデルナにアルカイーダのメンバーがイスラム主義の「首長国」を設立したと発表。お決まりの「イスラム主義」を持ち出した脅し…。
そんな中、イランの反応が興味深い。2年前に自国の抗議運動を武力で鎮圧したアフマディネジャド大統領自身が、本日テレビで、リビアの国民に対する武力行使を声高に糾弾した。チュニジア、エジプトの反体制運動の際にも「民衆はイスラム国家を望んで戦っている」などと目的を都合のいいようにすり替え、蜂起を支援するメッセージを発したイラン首脳陣は、内心はかなりビビッているに違いない。
いずれにしても、死者の数もソースにより300人(政府発表)から1万人(アルアラビアTV)と幅があり、まだまだリビアに関する情報は錯綜している。明日には少し明瞭になってくるだろうか。
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おととい、ベネズエラへ亡命か?との噂も流れ、「カダフィ大佐が退散中…」と書いたが、やはり一筋縄ではいかない。
カダフィ大佐はちゃんとリビアの首都トリポリにいて、昨日の夕方はテレビ中継にて国民に呼びかけた。晩年はますますエキセントリックな人物として知られていたけれど、語る姿はやはり尋常ではない。
この様子を見る限り、ベンアリやムバラク前大統領たちのように亡命や引退など考えられない。国が滅びようと最後まで戦いぬく意気込み。背筋が寒くなる。
そして、姿はもとより仰天するのがスピーチの内容。「リビアの民よ、反乱分子と戦え、今夜より戦闘機材を準備する」などと国民同士の内戦を促している。昨日の朝からの情報によれば、すでにあちらこちらで戦闘機による空爆や地上戦による被害者が続出している。
しかし、新聞記者が締め出されているので、情報が乏しく、殺戮の度合いが懸念される。しかも、カダフィに雇われた多数のアフリカ人傭兵の仕業により死者が続出しているという。今日になってようやく、各国のジャーナリストたちがチュニジアやエジプト国境から「非合法に」進入できた模様。情報が少しずつ増えてきた。ル・モンドのジャーナリストも潜入できた様子。
明らかに市民の虐殺が懸念されるというのに、国連安保理は昨日一日中話し合った結果「暴力行為を非難」する声明を発するにとどまり、非常事態だと言うのに国連軍介入などの具体案はなし。やはり、中国、ロシアの尻込みか。
一方で、世界各国の外交官をはじめ、陣地がえを発表するリビア高官は後を絶たない。遅かれ早かれカダフィ体制の行く末は明らかなだと思われるのに、毒を食らわば皿まで?
それともまだ体勢を立て直せると思っているのだろうか。今日、副外相がリビア東部のデルナにアルカイーダのメンバーがイスラム主義の「首長国」を設立したと発表。お決まりの「イスラム主義」を持ち出した脅し…。
そんな中、イランの反応が興味深い。2年前に自国の抗議運動を武力で鎮圧したアフマディネジャド大統領自身が、本日テレビで、リビアの国民に対する武力行使を声高に糾弾した。チュニジア、エジプトの反体制運動の際にも「民衆はイスラム国家を望んで戦っている」などと目的を都合のいいようにすり替え、蜂起を支援するメッセージを発したイラン首脳陣は、内心はかなりビビッているに違いない。
いずれにしても、死者の数もソースにより300人(政府発表)から1万人(アルアラビアTV)と幅があり、まだまだリビアに関する情報は錯綜している。明日には少し明瞭になってくるだろうか。
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Tuesday, February 22, 2011
グループ・マルリー(フランス外交)
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2月23日付けLe Monde紙の意見欄に、匿名の外交官グループ(le groupe Marly)が論説を載せた (題名"On ne s’improvise pas diplomate")。'Marly' は発起メンバーが当初集まったパリのカフェの名前。
このグループは、現大統領は総じて行政機関を蔑視し、自らの政策ミスの責任を転嫁する傾向にあると、痛烈にサルコジ政権の外交政策を批判している。その裏付けとして、4つの誤りを挙げている。
①衝動性。⇒地中海連合(Union pour la Mediterranee)の座礁。その目的と手段の変更をうながした外務省の忠告を無視し即席に設立された。
注)チュニジアのベンアリ前大統領とエジプトのムバラク前大統領を主な柱とした、サルコジ大統領発案の連合体。
②アマチュア性。⇒コペンハーゲン環境会議の準備を環境省に任せたために、フランスそして欧州の弱さが露呈し、会議の失敗へとつながった。
③メディア受けを狙う。⇒今メキシコとの間に起きている外交摩擦は、本来ならば穏便に処置されるべき案件が表沙汰になったことが原因。
注)メキシコで誘拐補助罪で60年の禁固刑を受けた仏人女性Florence Cassez をめぐる、首脳陣を巻き込んだ司法論争。
④一貫性の欠如。⇒わが国の中東政策は意味不明で、シリアの思う壺となっている。同時に、フランス語圏アフリカ政策が物語るように、明らかな優先事項が実行されていない。
グループは、フランスの外交官もアメリカの同僚たちに劣らない真面目な仕事をしているにも係わらず、その意見が政策に反映されていないことを指摘している。
この論説は、もちろん、アリヨマリ外相の対チュニジア外交における相次ぐ失態に代表される、フランス国そのもののイメージ低下を嘆いたもの。
また、題名の "On ne s’improvise pas diplomate"(付け焼刃で外交官は務まらない)は、明らかに、ここ3日ほど話題になっている「サルコ・ボーイ」、チュニジアに就任ほやほやの若手ボリス・ボワイヨンBoris Boillon大使のお粗末な仕事ぶりを揶揄したものだろう。
(先週の木曜日、就任の挨拶に招待したチュニジアのジャーナリストたち対し、高慢で冷静さを欠いた態度を示したビデオが出回っている。2日後に仏領事館前で大使追放を求めるデモが起き、翌日に国営テレビ放送にで大使はチュニジア国民に対し謝罪した)
それにしても、司法官たちに引き続き、本来「自制義務(devoir de reserve)」下に置かれた外交官などの官吏たちまでをも敵に回して、サルコジ政権末期はいよいよ混迷してきた模様…。
ついでに、Groupe Marlyは、2008年に一部の軍指揮官がサルコジ政策を批判する論説をGroupe Surcoufの仮名で発表したことにちなんでいる。
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2月23日付けLe Monde紙の意見欄に、匿名の外交官グループ(le groupe Marly)が論説を載せた (題名"On ne s’improvise pas diplomate")。'Marly' は発起メンバーが当初集まったパリのカフェの名前。
このグループは、現大統領は総じて行政機関を蔑視し、自らの政策ミスの責任を転嫁する傾向にあると、痛烈にサルコジ政権の外交政策を批判している。その裏付けとして、4つの誤りを挙げている。
①衝動性。⇒地中海連合(Union pour la Mediterranee)の座礁。その目的と手段の変更をうながした外務省の忠告を無視し即席に設立された。
注)チュニジアのベンアリ前大統領とエジプトのムバラク前大統領を主な柱とした、サルコジ大統領発案の連合体。
②アマチュア性。⇒コペンハーゲン環境会議の準備を環境省に任せたために、フランスそして欧州の弱さが露呈し、会議の失敗へとつながった。
③メディア受けを狙う。⇒今メキシコとの間に起きている外交摩擦は、本来ならば穏便に処置されるべき案件が表沙汰になったことが原因。
注)メキシコで誘拐補助罪で60年の禁固刑を受けた仏人女性Florence Cassez をめぐる、首脳陣を巻き込んだ司法論争。
④一貫性の欠如。⇒わが国の中東政策は意味不明で、シリアの思う壺となっている。同時に、フランス語圏アフリカ政策が物語るように、明らかな優先事項が実行されていない。
グループは、フランスの外交官もアメリカの同僚たちに劣らない真面目な仕事をしているにも係わらず、その意見が政策に反映されていないことを指摘している。
この論説は、もちろん、アリヨマリ外相の対チュニジア外交における相次ぐ失態に代表される、フランス国そのもののイメージ低下を嘆いたもの。
また、題名の "On ne s’improvise pas diplomate"(付け焼刃で外交官は務まらない)は、明らかに、ここ3日ほど話題になっている「サルコ・ボーイ」、チュニジアに就任ほやほやの若手ボリス・ボワイヨンBoris Boillon大使のお粗末な仕事ぶりを揶揄したものだろう。
(先週の木曜日、就任の挨拶に招待したチュニジアのジャーナリストたち対し、高慢で冷静さを欠いた態度を示したビデオが出回っている。2日後に仏領事館前で大使追放を求めるデモが起き、翌日に国営テレビ放送にで大使はチュニジア国民に対し謝罪した)
それにしても、司法官たちに引き続き、本来「自制義務(devoir de reserve)」下に置かれた外交官などの官吏たちまでをも敵に回して、サルコジ政権末期はいよいよ混迷してきた模様…。
ついでに、Groupe Marlyは、2008年に一部の軍指揮官がサルコジ政策を批判する論説をGroupe Surcoufの仮名で発表したことにちなんでいる。
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Monday, February 21, 2011
ついにリビア
リビアの最高指導者カダフィ大佐が退散中…。リビアはさすがにもう少し持つのではと思っていたが、地理的にも先に独裁者追放を果たしたチュニジアとエジプトにはさまれて、民衆運動の勢いに抵抗できなかったか…。
帰宅してからLemonde.frのライブで様子を追っているけれど、どんなに頑強なシステムを作り上げ、40年間その上にあぐらをかいていても、風向きが変わり崩壊するときには、トランプのタワーが崩れるようにあっけないものだと実感する。
国連の派遣官僚、戦闘機によるデモ隊への攻撃命令を拒否してマルタに避難した軍の高官など、今まで政権側にいた人々が次々に陣地がえしてトップを見放すために内部から脆くなるのだと、ライブで経過を追っているとよくわかる。人間なんて、本来は現金なものだ…。
ところで、チュニジア前ファーストレディーのレイラ夫人、瀕死の夫をサウジアラビアにおいてリビアに亡命中だったはずだけど、今頃またどこかへ脱出中だろうか。
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帰宅してからLemonde.frのライブで様子を追っているけれど、どんなに頑強なシステムを作り上げ、40年間その上にあぐらをかいていても、風向きが変わり崩壊するときには、トランプのタワーが崩れるようにあっけないものだと実感する。
国連の派遣官僚、戦闘機によるデモ隊への攻撃命令を拒否してマルタに避難した軍の高官など、今まで政権側にいた人々が次々に陣地がえしてトップを見放すために内部から脆くなるのだと、ライブで経過を追っているとよくわかる。人間なんて、本来は現金なものだ…。
ところで、チュニジア前ファーストレディーのレイラ夫人、瀕死の夫をサウジアラビアにおいてリビアに亡命中だったはずだけど、今頃またどこかへ脱出中だろうか。
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Sunday, February 20, 2011
民衆蜂起と腹痛と
十日ほど前から胃とお腹がしくしくと痛い。私にしてはめずらしい。
乙女のころから慢性的に胃痛に悩まされ、コーヒーも飲めず、バッグにはタケダ漢方胃腸薬を常備していた私だけれど、十ウン年前に日本を離れてパリに移り住むと同時にパタリと胃痛がなくなった。コーヒーも飲めるようになった。
そこで思い当たるのがアラブ諸国や中東で起きている民衆蜂起や反体制運動。なんとなく、これのような気がする。年末より新聞、ラジオ、TVニュースチャンネルでチュニジア情勢を革命に至るまで追ってから、ムバラク大統領退散に至るエジプト情勢、そしてここ数日の、リビアやイランなどの超強健独裁体制をも揺るがしている民衆の底力に、正直釘付けだ。
そして、疲れる。この地域の人たちの生活と直接かかわりはないけれど、すごく消耗する。マグレブや中東地域の沸騰によって引き起こされている、地殻変動にも似たパラダイムの変換に立ち会っている感覚。日本人としてヨーロッパにいても、この動きに否応なく巻き込まれているため、めまいに似た感覚を覚える。
中東事情に絡むヨーロッパやアメリカの思惑と対処、外交上の争点となりそうなポイントを、わかる範囲で考えてみると、その緊迫感に圧倒されて頭まで痛い。
こうオットに話すと「あー、わかるわかる。実はぼくも同じだよ。意外と疲れるもんだね」と答えた。
二日前からオットをパリに残し義実家に来ている。義母に、胃が痛いこと、原因として思い当たることを説明する。パラダイムが、地殻変動が、目に見えない気運の流れが、、、と抽象的な事柄を伝えようとする。義母は一生懸命耳を傾けてくれるが、途中で「ごめん、Je ne te suis plus… (話に)ついてけてない…」と申し訳なさそうに言った。
そこで、終いには私も「えっとね、Xファイルみたいなものなの」とつぶやいたが相手の目はテン。今宵は、義理娘がいつもよりもさらに宇宙人に見えたことだろう。
乙女のころから慢性的に胃痛に悩まされ、コーヒーも飲めず、バッグにはタケダ漢方胃腸薬を常備していた私だけれど、十ウン年前に日本を離れてパリに移り住むと同時にパタリと胃痛がなくなった。コーヒーも飲めるようになった。
そこで思い当たるのがアラブ諸国や中東で起きている民衆蜂起や反体制運動。なんとなく、これのような気がする。年末より新聞、ラジオ、TVニュースチャンネルでチュニジア情勢を革命に至るまで追ってから、ムバラク大統領退散に至るエジプト情勢、そしてここ数日の、リビアやイランなどの超強健独裁体制をも揺るがしている民衆の底力に、正直釘付けだ。
そして、疲れる。この地域の人たちの生活と直接かかわりはないけれど、すごく消耗する。マグレブや中東地域の沸騰によって引き起こされている、地殻変動にも似たパラダイムの変換に立ち会っている感覚。日本人としてヨーロッパにいても、この動きに否応なく巻き込まれているため、めまいに似た感覚を覚える。
中東事情に絡むヨーロッパやアメリカの思惑と対処、外交上の争点となりそうなポイントを、わかる範囲で考えてみると、その緊迫感に圧倒されて頭まで痛い。
こうオットに話すと「あー、わかるわかる。実はぼくも同じだよ。意外と疲れるもんだね」と答えた。
二日前からオットをパリに残し義実家に来ている。義母に、胃が痛いこと、原因として思い当たることを説明する。パラダイムが、地殻変動が、目に見えない気運の流れが、、、と抽象的な事柄を伝えようとする。義母は一生懸命耳を傾けてくれるが、途中で「ごめん、Je ne te suis plus… (話に)ついてけてない…」と申し訳なさそうに言った。
そこで、終いには私も「えっとね、Xファイルみたいなものなの」とつぶやいたが相手の目はテン。今宵は、義理娘がいつもよりもさらに宇宙人に見えたことだろう。
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