Saturday, February 2, 2013
Diane35、ピル騒動の中の抗にきび薬スキャンダル
なんか出てきたなぁ、芋づる式に。
このブログでも度々取り上げている避妊用「第3世代ピル」問題(下記リンク参照)。その最中、新たなピル問題が。いや、正確には「避妊用ピル」問題ではなく「ニキビ治療薬」問題なのだけど。
フランス保健製品衛生安全庁(ANSM)によると、バイエル薬品の抗ニキビ薬 Diane 35 が原因と見られる死亡が1987年以降7件記録されていると、ANSMの内密レポートを入手したルフィガロ紙が26日明らかにした。死因は肺栓塞や脳梗塞などの静脈血栓塞栓症。
ANSMはルフィガロ紙の質問に対し「7件中4件は Diane 35 が直接原因である」と認めている。
死亡にまでは至らなくとも、同レポートによると、Diane 35 とそのジェネリック(後発医薬品)による血栓塞栓症発症のケースは2013年1月16日までに113件確認されている。そのうち、68人は後遺症無しに完治、7人は治ったものの後遺症が残り、30人は未だ治療中。
問題は、Diane 35 とそのジェネリック医薬品(Cypropharm, Evepar, Lumalia, Holgyeme, Minerva 35 など)が、本来「抗にきび剤」としての販売許可しか取得していないのに、大半は避妊用ピルの代替として医師により広く処方されていること。よって、そもそも Diane 35 には、第2世代や第3世代という区分はなく、また、避妊薬としての効果についてのデータが存在しない、という状況なのだ。
わかっているのは、この商品の血栓塞栓症のリスク。ルモンド紙によれば、Diane 35 のプロゲステロン(黄体ホルモン)に使用されている酢酸シプロテロンという成分は、服用開始一年以内 に静脈血栓塞栓症の発症リスクを6.68倍に増大させることが2009年のデンマークの研究データにより明らかにされている。これは、第3世代ピルによる血栓塞栓症のリスクと同レベルだという。
この抗ニキビ薬が、避妊薬として広く流用される危険性については、これまで度々国内外で指摘されてきた。
1月24日、第3世代ピルに関する初の提訴(12月半ば)以来、新たに14件の訴えが、ボビニーの大審裁判所にまとめて提出された。訴えられたピルたちは、第3世代では Desobel 20、Desobel 30、 Mercilon、Desogestrel 20、Biogaran、Melodia、Harmonet,、 Gestoden 30、Varnoline、Carlin、Moneva。第4世代では Jasmine、Jasminelle と Yaz。そして、本来抗ニキビ薬の Diane 35。
さらに 27日、ルフィガロ紙が上記ANSMの内部レポートの内容をすっぱ抜いてからは、「Diane 35 による被害の訴えが殺到し、現在 Diane 35 だけでも被害件数は200件。毎日30件ずつ増えている」と、ピル被害者を支える弁護士の一人、フィリップ・クルトワ弁護士は言う(29日付ルポワン誌記事)。
そして 30日、ついに、ANSMは Diane 35 とそのジェネリック医薬品の販売停止を決定したと発表。今後3ヵ月以内にすべての商品を回収するという。
とはいえ、現在 Diane 35 を服用中の女性に対しては、ANSMは医師への相談無しに突然服用を止めないよう呼びかけている。
相次ぐ避妊用ピル騒動を受け、政府は、ピル服用者の不安に答えるべく、ピルに関する無料ホットラインを設置した。
Numéro vert sur les pilules:0800 636 636(月~金9h-20h)
※Diane35は1987年にバイエル薬品から商品化され市場に出回った。世界135カ国で許可され116カ国で販売されている人気の医薬品。
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Sunday, January 27, 2013
仏メディアに忘れ去られたアルジェリア人質事件
【仏メディア 後編】(前編へ)
24日午後、シャルル・ド・ゴール空港で、メキシコで釈放されたフロランス・カセさんを乗せた飛行機が着陸するのを取材陣が待つあいだ、iTele のレポーターが一人「実は今朝、この空港に、もうひとつの帰還がありました。アルジェリア人質事件で唯一殺害されたフランス人人質のヤン・デジューさんの棺が、同じ滑走路に降り立ったのです」
無名のレポーターよ。よく言った。彼の一言は、フロランス歓迎のヒステリックな報道に一瞬にしてかき消されてしまったが、私の耳にはちゃんと残ったよ。
フロランス帰国の過熱報道が、数年にわたる人権侵害からの解放を祝う喜びからくるものであるならば、テロリストの人質になりあっけなく殺されてしまうという、同じ一国民に対する明白な人権侵害はどう扱うのか?
数少ない記事のひとつによれば、棺の出迎えにひそやかに出席したのは無名のエレーヌ・コンウェイ在外フランス人担当大臣(外務省付きの副ポスト)。記事の写真を見ると一応赤じゅうたんは敷かれているので国としての公式な出迎えだというのに、同じ日の午前と午後でこの待遇の差は何?
たとえ遺族が報道は控え目にと希望を出していたと仮定しても、ジャーナリストとして一応は言及するのが勤めだし、死者への敬いってモンじゃないの?記事によれば、空港で棺が迎えられた場所も、数時間後にフロランスがファビウス外相を従えて記者会見のフラッシュを浴びた、同じレセプション・ルームだということだし、リマインドする機会はいくらでもあったのでは。
フロランスと同じ日に、自国の人質の亡骸も帰ってきたと気付いた仏国民はどれだけいるのだろう?
やっぱり、マリ軍事介入の正当なイメージを維持するため、士気を損なわないために、今現在フランスでは「あの」人質事件に、メディア上なるべく触れさせたくないのね、と勘ぐらざるを得ない。
もちろん、視聴率的には味気ない棺おけの映像よりは美女の涙や笑顔の方が売れるので、すべてが政治がらみでないことは承知。ただ、フランスのメディアは、独立を謳ってはいるけど、メディア企業オーナーが財界の大物であることも多く、サルコジ政権下では仏国営テレビの責任者を大統領が直接任命できるように法を変えちゃったりして、往々にして報道を自粛したりする悪い癖もある。
ショックだったのは21日月曜日、France2(国営放送)20時のTVニュース。アルジェリア軍の強行突破から2日目のこの日は、午後にアルジェリアのセラル首相が制圧作戦終了後初の記者会見を行い、外国人人質の犠牲者の数が当初伝えられていた23人から37人に増えて行方不明者もまだいる、と発表した日だった。
かなり重要な話題だと思われたのに、なんと、この記者会見の数時間後に放送されたプライムタイムの全国ニュース番組で見事に無視されてしまった。
最初の10-15分は延々とフランスに降りしきった大雪の話題。わかったよ、いつまでやってんだろ、って思ったら次はマリでのフランス軍の活躍のニュース。北部のある村からイスラミストたちを追い出すことに成功、村人たちに歓迎される、フランス軍立派!という内容。おまけに、コンピュータグラフィックでマリでの北部解放戦線がぐんぐん上昇していく様子が映し出され、戦中プロパガンダか?とツッコミを入れたくなる。
その他、オバマ大統領就任セレモニーの話題もあったかなー、よく覚えてないけど、とにかく、アルジェリア人質事件にはついに触れられることは無かった。。。
なんか、あきれるだけでなく、腹立たしいんですけど。
これでいいのか、フランス・メディア?
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Saturday, January 26, 2013
フロランス・カセ釈放帰国と仏メディア
【仏メディア 前編】
フロランス・カセ Florence Cassez さん釈放について、昨日書ききれなかったこと。(釈放までの経緯については昨日のブログ記事参照)
フランスに住む人ならイヤでも気付いたであろう、フロランスの釈放と帰国にまつわる報道はオーバーヒート気味だった。彼女の件を知らない人は、いったい何ごとか?誰この人?と感じたことだろう。
まずは23日夜の、釈放か否かを審理するメキシコ裁判所からの実況中継。まぁ、これはメキシコ側が審理をメディア公開しているので、生中継自体は仏メディアのせいではないけど、iTele やBFMTV などのニュースチャンネルは解説者、評論家、「支持する会」メンバーをこぞって集めて批評大会。その割には昨日書いたように、肝心の審理内容はうまく伝わってはこなかったのだが。
すごかったのはフロランスの母親が、議員など「支持する会」の代表メンバーや、仏ファーストレディのヴァレリー・トリールヴァイレール(Valérie Trierweiler)と共にテレビで審理を追っているというパリのアパートの建物の前。
すずなりの記者とカメラマン。母親のシャルロットはじめ、メンバー全員が出てきたとたんに押すな押すなの大騒ぎ。どの局も我先に映像やインタビューを求めて押し合い圧し合い怒号が飛ぶ。結局、肝心のテレビ画面には揉み合いの映像しか映らないのだから、こういうシーンを見るたびに、まったく非生産的だと感じる。全体主義国家じゃないからね、局同士の自由競争は良しとしても、なんとかならないもんか。
その後、近くのカフェで母親シャルロットと支持メンバーとの記者会見が予定されていて、ここでも「(前のカメラマンに)座れっ!見えないっ!」と怒声の掛け合いがしばし続いたあと、やっと始まる。
娘の釈放の感想、7年間どんなに心配だったか、などを話した後、面白かったのが、メキシコに対する思いを尋ねられたのに対し、シャルロットが「恨みはないわ。もちろん、一部の人が娘を大変傷つけたことは確かだけど、メキシコには良心的な人もたくさんいる。何処でも同じでしょ、それは。悪人もいれば善人もいる。On ne peut pas généraliser(メキシコ人を十把一絡げに評価することはできない)。だから、私の心には恨みとか復讐という感情は全くないのよ」と、静かにしみじみと答えたあと。
シーーーン。
あんなに白熱していた会場が、数秒間静まり返った。期待していた答えと違ったのか。これじゃセンセーショナルな記事が書けないのか。「それを言われちゃ、おしまいよ」ってか。当の母親は聖女のような顔で次の質問を待っているので、この不思議な「間」に、オットと思わず大笑い。
さて、騒ぎは翌24日も続いた。何しろフロランスを乗せた飛行機が戻ってくるのだから。寒い中、空港で着陸を待ち続ける各局の取材人たち。出迎えにはファビウス外相も駆けつける。オランド大統領からは「疲れてなければ今日にでもエリゼ宮に迎える」とのメッセージ。ニュースチャンネルからは「我がTV局のレポーターが一人、フロランスと飛行機に同乗していますっ!」と自慢げな声。
でもね、それほどの扱いに値する出来事なのかな。外国で捕まって裁判の結果釈放されて帰ってきた。たとえ誤審だったとしても、相手は(一応)法治国家。それが、テロリストから解放された人質の出迎えに匹敵する仰々しさ。国を挙げての大騒ぎ。なんか、ちょっと、桁が外れている気がするのは私だけか。。。
【仏メディア 後編】につづく
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Friday, January 25, 2013
魔女フロランス・カセと謎のエオラス弁護士
24日夜テレビ番組に出 演したフロランス・カセ |
自動車販売員だと思って一緒に暮らしていた当時のメキシコ人の恋人が、実は誘拐を生業とするギャングのボスで、2005年、彼女は、誘拐の共犯者として、恋人と一緒にメキシコで逮捕された。
彼女は初めから無罪を主張。ここ7年の間に何度も釈放の審理などが開かれ、その度にフランス中が固唾を飲んで見守ってきたが、メキシコの最高裁は毎回、釈放の申し立てを棄却してきた。
フロランスの潔白を信じるフランスの政界・芸能界の人物は多く、フランスでは強力な「支持する会」が出来上がっており、2011年には、当時のサルコジ大統領がフランスの「メキシコ年」の祭典をすべてキャンセルして、事態は外交問題にまで発展していた。
無罪であるならば、なぜこんなに拘禁が長引いたのか。なぜ、こんなにメディアに騒がれる事件となったのか。
私見ではあるが、私は、フロランスのプロフィールや容姿が大いに影響していると感じる。
彼女は長身で色白の美人。髪はまぶしいほどの赤毛。そして勝気なフランス女性。これだけ揃えば、黙って道を歩いているだけでも注目される。その上、犯罪という匂いが漂えば「魔性」の要素が加わり、世論は食いつく。
現代の「魔女狩り」。メキシコでは誘拐事件の被害者は後を絶たない。警察は無能のレッテルを貼られないためにも「犯人」が必要だ。そして見つけた。マフィア検挙よりも手っ取り早いカモを。
フロランスの逮捕の様子を「ライブ中継」と偽って、ヤラセの場面* をメキシコのTV局に報道させた。誘拐被害者の家族たちの怒りの矛先は一気にこの「おフランスの赤毛の魔女」に向かった。
一度犯人像が具体化してしまうと、誤審であろうが人違いであろうが「離してなるものかっ」と必死になるのが被害者側の心理。肉親を失った悲しみが深いだけにわからなくはない。一方、警察関係者は、でっち上げが証明されればそれこそヤバイ。この事件では、各関係者たちの利害が絡み合って、事態を紐解くのに時間が掛かってしまった。。。とまぁ、こんなところかな。
経緯説明が長くなってしまったが、本題の釈放劇。
23日夜、子どもたちをバタバタと寝かしつけ、フロランスの釈放の審理をメキシコからの生中継で追うべくテレビの前へ。
ちょうど、5人中4人目の判事が弁論中。スペイン語から仏語への同時通訳が入っているが意味不明。途中で入るニュースキャスターの解説もあやふや。どうやら彼らも解釈が追いつかないらしい。
仕方なくネットへ。主要メディアのネット・ライブ中継。釈放への得票が2対2となったところで、テレビでは5人目の判事が弁論を始める。この判事はずっとフロランス支持だったというし、この判事は釈放に「賛成」なはずだからもうこれで3対2で釈放確定じゃないの?と思っていたが、そう単純なことではないらしい。ワカラン。
そして気付いた。レクスプレス誌(lexpress.fr)のライブ中継がメートル・エオラス(Maître* Eolas)のツイートをそのまま載せていることに。そうだ、その手があった。
すぐにエオラス弁護士のツイッターに直行。そして大先生のおかげで分かりました。このまま行けば単純に釈放とはならず控訴審のやり直しとなること。それを避け、フロランスを即時釈放に持っていくために、5人目の弁護士が当初の案を修正する方向で熱弁していて、その修正案をもとにもう一度5人の意見を聞くという提案を土壇場でしていること。そして、結局、大先生いわく「大逆転劇」でフロランスが完全に自由の身となったこと。
ツイート・フォロワーが「でも、ルモンドやリベラシオン紙では控訴審を待つ間の仮釈放だって言ってるよ」と質問すれば「それは間違い。ジャーナリスト達はまだ元の案に基づいて判決を解釈している。控訴審はないよ」と答え「でも、訴訟に不手際があっただけで無罪が証明されたわけではないんでしょ?」との質問に対しては「事件ファイルの内容があまりにも滅茶苦茶なので裁判自体が初めから成り立たないという判決。よって証明されるべきは彼女の有罪であって無罪ではない」と直ちに答える。
(注. 会話は覚えている内容なので原文どおりではない)
「先生、どうしてそんなに詳しいの?」には「それはね、生で審理を追ってるからさ!」と、現場にいるんだかみんなと同じようにTVで見てるのかわからない謎の発言。ちなみに、奥さんはスペイン人だということだが、本人も完全にスペイン語を理解している様子が会話から窺える。
おそるべし、メートル・エオラス。彼については一度ブログでも紹介しようと思っていたのだが、簡単に言うと、匿名の弁護士でフランスのツイッター王。一般のファンはもちろん、政治家やジャーナリストで彼をフォローしていない者はない。フォロワー10万人近く。私もファンの一人。
仏ウィキペディアにも謎のツイッターとしてページが存在する。エオラスは仮名。ツイッターのプロフィール・アイコンは「トトロ・バット」(こうもり型トトロ)。彼の辛辣な世情の分析、コメント、反論者への皮肉をこめた切り替えし、ユーモアとウィットに富んだフォロワーへの返信は失笑噴飯もの。
それにしても、いくら人気者とはいえ、正体不明とされるツイッター人物のコメントをそのままライブ中継するとは、、。仏メディアよ、大丈夫か。もうちと、しっかりしてくれぃ。
* ヤラセは警察、番組関係者が白状している
* Maître は弁護士の名の前につく敬称で一般人の Monsieur や医師の Docteur と同じ用法。
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Wednesday, January 23, 2013
第3世代ピルは第2世代ピルに勝らない
ピルを常用するフランス女性の半数以上が第3世代ピルを服用している。高等保健衛生機構(HAS, Haute Autorité de Santé)が2007年より発していた勧告にも関わらず。
「2007年、すでに、第2世代ピルに対する第3世代ピルのメリットは充分とは言えないので、最初から第3世代ピルを選んで処方することは推奨できなかった」と、HASのジャンリュック・アルソー教授は振り返る。
2011年末、第3世代ピルによる血栓塞栓症や動脈硬化症の発生率が、稀だとはいえ(1万人中2人)第2世代ピルに比べ2倍であるという事実が、デンマークの広範な研究結果により確認されている。
これを受け、HASは第3世代ピルの「医療上の有用性」基準(Service Medical Rendu)を下方修正したのだった。すなわち、現在マリソル・トゥーレーヌ厚生大臣が目標とする「第3世代ピルは例外的にしか処方しない」という方針は、以前から指摘され、医師たちには伝わっていた訳だ。
ではなぜ、HASの勧告は無視され、第3世代ピルがこれほど大量に処方される結果となったのか?
「はっきり言ってしまえば、第3世代ピルを販売する製薬会社のセールストークがうまかったのね」とトゥーレーヌ氏は言う。さらに「2009年に前政権が第3世代ピルの払い戻しを承認しちゃったでしょ。だから余計、医師やピル服用者に警告のメッセージが伝わりにくかったのね」と、ついでに右派の前任者たちを叩く。
HASのアルソー教授は「第3世代というからには第2世代よりも良い、と誤って認識されてしまったのでしょう。医師の中でも特に専門医が『新製品』というふれこみに惹かれてしまった感がある」と分析する。実際、第3世代ピルの処方者は、婦人科医54.2%、一般科医44.7%だ。
アルソー教授はまた「これだけメディアで話題になったのだから、今度こそは、どの医師にもメッセージは伝わったと願いたい」と望む。
一方、現在第3・第4世代ピルを服用している女性たちに向けて、厚生相のトゥーレーヌ氏は「主治医の元に急いで駆けつける必要はありません。次回の診察の際にピルについて相談するとよいでしょう」と、必要以上の不安を取り除く発言をしている。
(Le Nouvel Observateur 1月11日付記事より)
-------
要は、ことピルに関しては、『第3』だから『第2』のバージョンアップと考えてはダメだ、ということね。iPhone5の方がiPhone4 より高機能、とか、今買うならニンテンドーDSよりは3DS、と同じわけにはいかないと。
前にも挙げたこの記事によれば、そもそも第3世代ピルは、ピル独特の副作用(胸の張り、吐き気、頭痛等)を第2世代ピルより抑えようと開発されたらしい。でも、結果として血栓症のリスクは上がってしまったようだ。
ちなみに、第2と第3/第4世代ピルの違いは主にプロゲステロン(黄体ホルモン)の成分の違いによる。
ともあれ、このピル騒ぎの影響で、1月1日~10日の経口避妊薬の売上げは、第2世代ピルがプラス20%と急増したのに対し、第3世代ピルは6%減少した(nouvelobs.com)。
では、なぜ、いっそのこと、第3世代ピルを完全に販売禁止にしないのだろう?francetvinfo.fr のこの記事によれば、理由のひとつとしてトゥーレーヌ厚生大臣は、第2世代ピルが全く体に合わない女性に選択肢を残しておきたいからと説明。さらに「第2世代ピルを優先させたい気持ちはあるが、体質によりケースバイケースで決めていくことが何より重要」と言う。
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Sunday, January 20, 2013
アルジェリア人質事件が終って …
ふぅー。
ニュースの話題はアルジェリアで起きた天然ガスプラントの人質拘束事件ほぼ一色、仏語で言えばとても「intensive」な週だった。
事件のいきさつは、フランスのマリにおける戦争の「とばっちり」を受けた形で日本人も巻き添えになってしまったため、日本語でも情報が多いのでここでは省略する。
昨日、アルジェリア軍による「強行突破」が予想通り実行され、残った人質もろとも、テロリストたちは全員鎮圧(殺害)され、占拠事件は幕を閉じたのだが・・・
独断と偏見で今私の思っていることを言いたい。
① オランドは内心 胸をなで下ろしていることだろう
カダフィ政権崩壊後、無法者の行き来が自在となってしまったリビアとの国境付近にあるこのガスプラント。イスラム武装勢力によって、前々から「占拠」が準備されていたと仮定しても、実際に事件が起きたのは仏軍のマリでの参戦がきっかけであろう。少なくとも格好の口実にはなった訳だ。
日本を含めた「西洋」諸国の民間人の人質多数。何の罪もない働く人たち。情報が錯綜する中、当初はフランス人人質の数も不明であったが…。
結局は早い段階で仏人人質一人死亡。もともと仏人は4人くらいと少なかったようだが、土曜の朝、日本人を含めた外国人人質7人がまだ残っているといわれている時点で、ルドリアン国防相は「フランス人の人質はもういな~い」と発表した。
この発表に、オランド大統領、そしてフランス人全般の心境を見た気がする。形としては、自ら起こした戦火の火の粉が散って他国の民間人に「迷惑」が掛かってしまった。しかし、マリで始めたこの戦争は止める訳にはいかない。そのためにはフランスの世論も味方についていないと困難だ。
ガスプラントで囚われ殺された人質が10人単位でフランス人だったら?アルジェリア軍が強行突破せず、交渉が長引き、10~20人のフランス人人質の家族が連日メディアに登場し世間の涙を誘うような証言とともに「息子を、夫を助けて!」と訴え続けていたら。。。
実際、米英日やノルウェーなどが「人命第一に!」と声をあげる中、オランド大統領は表向き「アルジェリア政府を信頼」と発言、静観の姿勢を崩さなかった。作戦強行後も「最も適切なやり方だった」と、のたまう。
オランド大統領が冷血漢であるという意味ではないが、今回の事態の展開は、オランド氏にとって「都合が良かった」ことは間違いない。こちらの言葉で、皮肉たっぷりに il s’en sort bien ! と言いたい。
② フランスの世論
戦争は残酷だ。人の心から「人間性」が薄れる、という意味で。大義名分のためには普通の人々の心が鬼にもなる、それが戦争なんだなぁって。
世論、といっても正式な調査があるわけではなく、主にニュースに対する読者のコメントやツイッター等から判断するに。
今回のアルジェリア軍のテロリストに対する強硬姿勢、人質の命は見捨てた作戦に、フランスの人々は好意的。主権国家としての誇りを持ったアルジェリアの正しい選択、身代金で武器を購入する → また人質を取るという連鎖を断ち切るべき、犠牲やむなし、との意見が花盛りだ。
でも、やっぱり、それは「花屋さんの息子のいとこの婚約者のお兄さんが人質のいる会社の取引先で働いてるんだって」「隣町の町長さんの秘書の旦那さんの同僚の知り合いが捕まってるんだって、心配だねー」と、巷で話題にならないからなのでは、と単純に思ってしまう。身近じゃなければ痛くない。
ちょうど2年前、今回ガス施設を狙ったモクタール・ベルモクタール率いる同じ一味にフランス人協力隊員の若者2人がニジェールで拉致された時、あどけなさの残る顔写真と父母の憔悴した様子がテレビに映し出されて世論はもっと同情的であった記憶がある。
当時のサルコジ大統領が強攻策に出て、結局は仏部隊の空爆により犯行グループと一緒に若者2人も殺害されてしまったわけだが、「やむなし」との意見は一部で根強かったものの、総じてサルコジの勇み足を批判するものだったのに。
(まー、単純な反サルコジ感情もあったのだろうけど)
③ アルジェリア
1962年、19~20世紀130年にわたるフランスの植民地支配から血みどろで脱却。
90年代のすべてをイスラム主義テロリストとの内戦に捧げ、2002年に武装イスラム集団(GIA)が降参するまで6万~15万人の犠牲者を払いながら国の安泰を一人で勝ち取ってきた。
今回、アルジェリアが歴史上、立場上、作戦を強行せざるを得なかったのは、頭では理解できる。さもあらん、と思う。
誰の手も借りない。協力を受け入れたりして「大国の手先」とのレッテルを貼られるのは我慢ならない、ましてや旧植民国の世話にはならない。外国人が巻き込まれていようが、自国で起こった出来事は自分たちの手で、自分たちのやり方で解決する。今まで通り「テロリストとは交渉しない」。
筋は通っているし、潔い。しかし、しかし、、、
深手を負ったトラが癒しきれていない傷をかばいながら立ち上がり、近寄ろうとするものを突っぱねて毅然と歩こうとしているのに似ていて、ある意味、痛々しい。
国際社会はそんなに捨てたものか。国際関係におけるリアリズム健在か。国際協力は駆け引きでしかないのか。特殊部隊のノウハウも最新鋭の技術開発も、結局すべては自国の利益を守るためだけのものなのか。他国よりも優位に立つために。建前や計算無しに、見返りを求めない外交や国際協力なんて、やっぱり夢物語。人間界では到底無理なことなのだろうなぁ。
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Monday, January 14, 2013
ただいま戦争中。 仏 vs「?」
戦争と平和。
パリでのほほんと暮らす分には生活上実感は沸かないが、金曜夜からフランスは平和な国ではなくなった。
軍事介入と言ってしまうと人ごとに感じられるが、実は、目下国を挙げて戦争中。
オランド大統領は11日夜、国連の容認を受けて国が戦闘態勢に入ったと、全国民に正式に発表した。
そこでQ&A。
誰と戦っているの?
近年の戦争は国vs国という従来の形態を取らないことも多い。
仏軍の対戦相手はアフリカに巣くっている複数の武装イスラム過激組織。
《マリ共和国において》
・Mouvement pour l'unicité et le djihad en Afrique de l'Ouest (MUJAO)「西アフリカ統一聖戦運動」
・Al-Qaida au Maghreb islamique (AQMI) 北アフリカ(マグレブ)のアルカイダ系組織(英表記AQIM)
・Ansar Eddine マリのイスラム主義組織「アンサール・アッ=ディーン」。イスラム法(シャリア)に基づいたの国の建設を目指す。2012年夏にマリの北部でユネスコ指定の世界遺産であるモゾレ(霊廟)を次々に破壊したのはこの組織。
↑ この3組織はマリ北部を支配するイスラム原理主義勢力やトゥアレグ族(砂漠遊牧民)の武装集団で、今回結束してマリの南部に総攻撃を仕掛けてきた。
《ソマリアにおいて》
・Al-Shabbaabソマリアのイスラム武装勢力、アル・シャバブ。アルカイダの一派。Shebab(シェバブ)とも呼ばれる。
どこで?
アフリカの西に位置するマリ共和国北部と、アフリカ東部のソマリア連邦共和国。
この2国への同時介入について、政府は「関連性はない」と発表している。エロー首相いわく「条件さえ整っていればソマリアでの作戦はもっと早くに行われていただろう」。
どうして?目的は?
マリのディオンクンダ・トラオレ(Dioncounda TRAORE)暫定大統領がフランスのオランド大統領に頼んだから。
マリ北部のイスラム主義勢力が一気に南下してきたため、マリ国軍だけじゃ抑え切れないから武力を貸して!と直接要請した。(首都バマコはマリ南部に位置する)
オランド大統領は国連の安全保障理事会に「マリ共和国の要請を受け、テロリスト分子と戦うために、仏軍はマリの部隊を支援する」と知らせた。この軍事介入は、主に国連憲章51条の『自衛権』に基づく、と外交筋は伝えている。
まぁ、表向きはどうであれ、要は、アフリカの外交政策的にも重要なマリほどの友好国が国家として機能しなくなり崩壊するのを、フランスとしては指くわえて眺めているわけにはいかないのだ。
マリがイスラム主義武装勢力の手に落ちれば、近隣諸国も揺るぐことになり、マリの隣国ニジェールやモーリタニアにはフランス企業が関わるウラン採掘産業もあることから(フランス原発の資源)、この地域がアフガニスタン化すのを断固阻止しなければならない。
ただでさえマリ政府は国の北半分のコントロールを失っている。おまけに、AQMI やトゥアレグ族武装勢力はフランス人の人質を8人も捕らえたままだし、ナメられたままではフランスの沽券に関わる、ってとこだろう。
ちなみに、なぜ「暫定」大統領かというと、昨年3月、「北部の武装反乱勢力に対して手ぬるい!」と、一部の軍人の手によってトゥーレ前大統領が追放され、新たな大統領選挙が行われるまでの間、国民議会議長であったトラオレ氏が暫定的に大統領に就任しているから。
一方、ソマリアでは、シェバブの人質になっているフランス人男性を解放しようと、前々から計画が練られていた。人質は3年前に捕らえられたフランスのDGSE(対外治安総局)の情報員(スパイ)。
なぜフランスが手伝うの?
フランスは歴史上、主に過去の植民地支配の経緯から、アフリカ西部の国々と深く繋がっている。
今回、マリのトラオレ暫定大統領はオランド大統領に直接呼びかけ、オランド大統領は「友好国であるマリ共和国自体の存続、マリ国民とマリ在住の仏国民の安全が脅かされている」として引き受けた。
また、フランスはチャドやコートジボワールに仏軍基地を有しており、ロジスティクス面でも機敏に対応できるという利点がある。
オランド大統領は、仏軍の武力行使はあくまでマリ国軍に対する支援に留まるべきである、と慎重に明言している。
セルヴァル作戦って何?
Opération Serval 。現在マリで展開中の軍事作戦名。
アフリカの砂漠に生息するネコ科の動物サーバル(Serval)にちなんで。
他の国は参加しないの?
当初、フランスは外部の戦力として参戦した唯一の国であったが、マリ軍幹部によればCEDEAO西アフリカ諸国経済共同体(英表記ECOWAS)の統合軍事力にはセネガルとナイジェリアの兵士も含まれるという。
国連安保理は西アフリカ諸国の兵士3300人で構成される連合軍の編成を承認。この連合軍は西洋諸国の後方支援を受けることになる。
その他、ブルキナファソやニジェールが援軍を配備すると発表。
アメリカは後方支援や無人航空機(drone)の提供などをする準備がある。
イギリスも、兵士は出さないがロジスティクス面で協力すると13日申し出た。
フランスの介入が「植民地主義的」と反感を生まないためにも、アフリカ諸国の軍勢が参加することは、フランスにとって大きな意味がある。
勝てるの?
武力装備の点では先進国の軍隊とトゥアレグ族の武装集団では比較にならないと思うが、後者はマリ北部の都市をほぼ支配下においており、広大な砂漠の中で土地勘と拠点を持つ。また、AQMIは2年前よりフランス人の人質を数人捕獲しており、長期戦となる可能性あり。
仏国防相ルドリアン氏は「必要な限りいつまででも続ける」と発表している。
今までの成果は?
《マリ》
初っ端に仏軍のヘリコプター操縦士一人を失ったものの持ち直し、13日にはオランド大統領は「イスラム主義勢力の侵攻を食い止めた。敵軍に大きな打撃を与えた」と発表。14日朝にはトンブクトゥやガオなどの北部重要拠点を集中攻撃している。
《ソマリア》
11日、情報員Denis Allex(おそらく仮名)の救出作戦は失敗。救出実行の際に仏軍に二人の犠牲者が出たほか「状況から見て、人質は処刑されたであろうと強く推察される」とルドリアン仏国防相が発表。
国内で反対している人は?
少数の反対意見を除いては、左右ともにおおむねフランスの軍事介入を支持している。
反対の声をあげているのは左翼党PGのジャンリュック・メランション氏とヨーロッパエコロジー・緑の党EELVのノエル・マメール氏。二人とも議会に事前相談なしに介入が決まったことを非難。メランション氏はアフリカの問題に外部からの軍事介入することも疑問視。
また、右派からは元首相のドミニク・ドヴィルパン氏が12日、「成功する見通しも立っていないのにフランスが軍事介入すること」に反対する声をあげている。
政治レベルの反対者ではないが、忘れてはならないのが2010年9月よりアフリカのマリ北部も含むサヘル(Sahel)地域でイスラム主義武装集団に抑留されている仏人の人質8人の家族たち。人質は民間人。
8人のうち少なくとも6人は直接AQMIに囚われていると推定され、今回の軍事介入により、人質たちの命は今までになく危険にさらされることになる。ソマリアでの人質救出失敗も起きているだけに、フランスで待つ家族たちの心配は想像に余りある。
私たちの日常生活に変化はあるの?
14日朝「フランスの要所を攻撃してやる!」と、西アフリカ統一聖戦運動(MUJAO)が報復を予告したように、今回の軍事介入によって、フランス本土におけるテロ発生の可能性が存在する。
Plan vigipirate と呼ばれるフランス国内の警戒態勢のレベルが、12日夜より、今までの「赤」から「rouge renforcé 濃い赤」という、今回新しく作ったレベル に引き上げられた。(最高レベルはécarlate 緋色」なので赤と緋色の中間、ということか)。
具体的には今までとあまり変わらないが、軍事施設や宗教施設、人の多く出入りする場所などの監視がさらに強化されるという。
大きな駅などで機関銃持ってパトロールしている兵隊さんの数が増えるのかな。
関連ブログ記事
アルジェリア人質事件が終って …(2013年1月20日)
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Saturday, January 12, 2013
お人よし夫婦 バカンス中に家乗っ取られる
お口がポカンとなる三面記事の話題をひとつ。
オード県の港町Port Leucate 。
ナディーヌとジョエル夫妻は、以前近所に住み親しくしていた女性に、バカンスの間だけ家を貸すことにした。
この女性は離婚問題を抱え金欠になり、家賃すら支払えず困っていたのだ。
夫婦は同情し、数週間バカンスで家を空けている間だけ、光熱費だけ借主負担という条件で女性とその4人の子どもたちに家を提供することにした。賃貸条件は一応簡単に紙切れにメモしてサインしておいた。
こうして夫婦はキャンピング・カーで旅行に出掛けた。
「夫とそろそろ家に帰ろうと決めて『10月中旬に戻ります』と彼女に連絡を入れたの。でも『連絡をもらってから物件を探したけど見つからなかった』と言われたきり、私たちは自宅に入れないでいるのよ」と、ナディーヌは語る。
夫婦はもちろん家に入ろうとしたのだが、玄関の錠を換えられてしまっていたのだ。
以後、夫婦はキャンピング・カーで寝泊りしている。人の良いこの夫婦は、その間も、女性と子どもたち、そして同じく居候中の女性の新しい恋人のために住居を探し続けた。
町役場から公営住宅のオファーがあったが「お気に召さなかった」らしい。
家の所有者である夫婦はもちろん裁判所にも訴えた。
通常ならすぐに退去命令が出て、ごねるなら警官が来て居候たちを追い出して終わり!となりそうなところ、そうはならない。
実は出発前に取り交わした紙切れの「せい」で足踏み状態だ。
「急速審理の裁判官はこの『契約書』を解釈する権限が自分にはなく、深く審理する必要があると判断した」と夫婦の弁護士は言う。
検察側は「このケースでは当事者の一方による契約履行上の問題が発生していることになり、民事の管轄である」と説明。
民事訴訟の最終判決が出るまで、夫婦は母屋の経費をすべて支払い続けているという。
ひさしを貸して母屋を取られる。そのまますぎて、格言にもならないよ。。。
(1月9日France Info 記事より)
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Friday, January 11, 2013
給食費未払い、5才園児を警察署へ連行
バスク地方の小町ウスタリッツ。水曜日、給食中の幼稚園児たちの前に突如警察官が現れ、5歳のレアちゃんを連れて行った。10日、Sud Ouest 紙が伝えた。
居合わせた園児たちは「レアちゃんはろうやにつれていかれた」と思い、レアちゃんは「パパとママがしんじゃったんだ」と思ったという。
「連行」の理由はレアちゃんの給食費の滞納。
170ユーロ。
レアちゃんの両親は別居中。レアちゃんは一週毎の交替居所で、両親の関係は非常に険悪だという。
父親 談。
「支払いの問題は、娘がされたことに比べたら取るに足らない。なんならすぐにでも払える額だ。誰が警察に命令したのか、なぜこんなことをしたのか、そこが知りたい」「娘は大きなショックを受けている」
幼稚園(私立)の園長 談。
「学校給食は町の管轄で、食堂は学校から200メートルの場所にある。不払いの件は知らされていなかった。なんて無責任なやり方だ!」「刑務所に入ったと思っていたレアちゃんが午後クラスに戻ってきたので、子どもたちはびっくりした。先生は生徒たちと話してなんとか皆を落ち着かせようとした。このように子どもを人質にするなんて!」
町の学校給食を運営管理する町長 談。
「女児を連れ出す命令は出していない」「ショッキングな展開かもしれないが、給食費の未払いが発生している。女児の両親には知らせてあったし、手続き上、実行せざるを得ないこともある」
警察(SNPM-FO組合)談。
「我々が得た情報によれば、女児を連れ出した婦人警官は町役場から直接命令を受けている。指示通りに行動したとのレポートも作成している」「警察署では、警官は女児に食事を与えており、親身な対応をした」
国民教育大臣ペイヨン氏 談。
「言語道断の暴力行為だ」「すべての国民、すべての市町村長・議員たちに、このような言語道断の行動は避けるよう申し渡す。親とトラブルが発生するケースがあっても決して子どもを攻撃するべきではない。教育相として、今回の行為を強く非難する。国民も私と同じ意見だろうと思うし、選挙で選ばれた人物がこのような行動を取れたことに心を痛めることと思う」
権利擁護官ドミニク・ボディス氏 談。
「このような、女児にとっては屈辱的で居合わせた園児にとっては衝撃的なやり方に深い打撃を受けている」
ボディス氏は、この一件の責任の所在を特定するため、調査を開始することを決定した。
------
前回のブログ記事ように「悪いのは誰?」と、ふざける気にもならない。少なくとも子どもに非はないことだけは明白であろう。
なんだか、サルコジ政権5年間を経てから人々のマインドが変化して、突拍子もない行動が平気で行われるようになった気がするのは私だけだろうか。。。
どうしても誰かを警察署に連れて行かなきゃ気が済まないのなら、父親か母親を、手錠でもかけて、ついでにサイレンも派手に鳴らして連行すればよかったのだ。親としては、そのほうが100倍嬉しかったはず。
あ、ついでに一言:
「お互いコミュニケーションも取れないほど関係がこじれている離婚or別居の両親のもとに、子どもを交替居所(résidence alternée)させるなっ!!!」
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Tuesday, January 8, 2013
94才女性 老人ホーム追放、悪いのは誰?
パリ郊外のシャヴィルChaville、民間の高級老人ホーム。入居費4万ユーロ(約1年半~2年分)の滞納に業を煮やした施設側が、老女を送り帰すことを決意。
窓口となっている息子の家を目指し、荷物をまとめ看護師をつけてタクシー(情報源によっては民間の救急車)に乗せたが、家は留守。老女は近所の病院の急患受付で降ろされた。
事件発覚後、老人施設側は「軽率であった」と反省、老女に対し謝罪をし、老女を再び受け入れる用意があると語った。
その一方で老女の家族(子どもたち)に対しては辛辣だ。老人施設側いわく、今までに何度となく電話や書留で連絡を取ろうとしたが反応なかった、帰宅の件も日時を連絡している、非常に不誠実な人たちだ、という。
未済の入居費用については、施設の訴えにより、裁判所から息子たちに支払を命じる判決が10月31日に出ているが、実行はされていない。
高齢者・自立担当大臣のミシェル・ドロネー氏は「無防備な人間がひとり、施設責任者の独断により真冬に追放された」「人権と人間の尊厳を侵害する行為」と、老人施設の対応を非難した。
オードセーヌ県庁はこの件に関し地方保健庁(ARS)に調査を依頼。ARSは「いかなる理由があれど、介護の必要な老人がこのような扱いを受けることは許容できない」と声明を出した。
老女は7日、パリ郊外のアントニーの私立病院に「検査」のため引き取られた。この病院では老女のもう一人の息子が産婦人科医として勤務している。
この息子は、ラジオで「連絡もなしに母は荷物と一緒に放り出された。支払いの件で揉めているのは確かだが、老人ホームはこのような行動を取るべきではない」と、老人施設を非難し、母親が老人ホームに戻ることを拒否した。
(情報源多し、AFP記事はこちら)
-------
さて、この中で一番悪いのはいったい誰?
① 福祉国家を謳いながらも、介護老人政策の遅れから金儲け第一主義の老人施設の蔓延を助長した国。
② 90半ばの老女を荷物とともに真冬に叩き出し、引取り手が留守だからと近くの病院の急患受付に置き去りにした老人ホーム。
③ 施設の入居費を2年近く滞納、裁判所からの支払命令も無視し続け、老いた母親を放ったらかしにした恩知らずな息子たち。
④ 実の息子たちから見捨てられるような育て方をした老女。
どのニュースサイトも、読者コメントの意見が割れに割れて、非常に興味深い一件だった。
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Monday, January 7, 2013
リヨンの象救済、あの手この手でメディアを動員
ジェラール・ドパルデュー騒動とリヨンの象事件がまさか繋がるとは思わなかったが、なぜか繋がってしまった。
ここ数日メディアの話題を独占している俳優ドパルデュー氏のロシア国籍取得騒動。昨日の時点では、ロシアパスポートのみならず家一軒とモルドヴィ地方の文化大臣の座をオファーされるという奇想天外な展開になっているが・・・
(ドパルデュー騒動の発端についてはこちらのブログ記事)
一方、未だ殺処分の脅威にさらされながらも、なんとか年越しは出来た象さんたち。(今までの経過はこちらとこちらのブログ記事)
クリスマスに、元女優で動物愛護活動家のブリジット・バルドーさん(B.B.)が結核の疑いのある2頭の象を自分の財団で引き取る提案をしたが、今のところ、彼女の申し出が安楽死の命令を出したローヌ県知事の心を動かした形跡はない。
年が明け、2日。
B.B. は象たちの「恩赦」を求め、大統領に宛てた公開書簡をパリ・マッチ誌のサイトParismatch.com に掲載。
そして4日。
B.B. は「この国を逃れるためにロシア国籍を申請することにしたわ~。この国はもはや動物たちの墓場でしかないのだから」と宣言した。
Parismatch.com の記事によれば、しびれを切らしたB.B. が、ドパルデュー氏のロシア国籍取得騒動に便乗して、象たちに脚光が浴びるようにメッセージを投げかけたのだという。
B.B. はさらに、「当局が、B.B.財団の度重なる提案に耳を傾けず、卑怯にもベビーとネパールを殺すような不注意をしでかすならば」彼女もドパルデュー氏と同じ行動に出る、と脅した。
リヨンのテット・ドール動物園の象、ベビーとネパールは、ここ数日の間にモナコのステファニー公女や俳優のアラン・ドロン、企業経済界からはMedef のローランス・パリゾ氏などを味方につけたが、未だ県知事命令が覆りそうな気配はない。
象たちの運命やいかに・・・
関連ブログ記事
結核で絶体絶命の象、イブに救世主現る?(2012年12月24日)
結核の象2頭、安楽死の決定は覆る?(2012年12月22日)
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Sunday, January 6, 2013
今度は「ピル・パニック」回避に懸命
前回までのエピソード:
第3世代ピルで身体障害、訴訟へ(2012年12月21日ブログ記事)
第3世代ピル、3月より払戻しに終止符(2013年1月4日ブログ記事)
先月半ばに提起されたピル訴訟は、かなりのインパクトがあったようだ。
年末年始休暇の真っ最中、それも1月1日に、フランス保健製品衛生安全庁(ANSM)が第3・第4世代ピルの処方を一部専門家のみに限定する方針であると発表。
翌2日には、厚生大臣のトゥーレーヌ氏が、第3世代ピルの保健払い戻し中止の時期を早めると宣言。
このように、政府関係者が第3・第4世代ピルを市場から撤回するような意気込み示したことに対し、医師などから非難の声が次々に上がっている。
患者にピルを処方する権限を取り上げられそうになった一般科医(généraliste)や、家族計画団体(planning familial)の責任者などが次々と、女性のピル離れを懸念する声をあげた。
また、専門医である産婦人科医たちも、今回のANSMと政府の対応を非難する。
ストラスブール大学病院のイスラエル・ニザンIsraël Nisand 教授は、長年避妊用ピルの無料配布制度の普及に尽力してきた産婦人科の権威であるが、今回の政府の対応に手厳しい。
教授は4日、ラジオで「訴訟を契機に政府がパニック状態であることに驚愕している。このようなパニックは経口避妊薬に対する警戒心を生み出す。実際に他の国で過去に起きたことで、結果として人工妊娠中絶が‘大繁盛’してしまった」と発言。また、「数百万人の女性に適している避妊方法の払戻しを中止する決断をした政府」を激しく責めた。
事態の沈静化を目指してか、ANSM長官のドミニク・マラニンキ氏は5日、ル・モンド紙のインタビューで「処方を専門医に限定することは法的には簡単だが、好ましくない。(中略)産婦人科医の数も充分ではないし、今は検討していない」と、数日前の自身の発言を覆している。
また、第3・第4世代ピルの販売を中止する意図があるか、との質問に対し「現時点では全く考えていない」「急に中止すれば、深刻な混乱を招きかねない。その結果、1995年イギリスで起きたように*、望まない妊娠、人口妊娠中絶の急増につながる恐れがある」と、その可能性を否定した。
血栓塞栓症の発症率は、マラニンキ長官によれば、ピルを服用していない女性500万人に対して年間250~500件、第2世代ピルを常用する女性250万人に対して年間約500件、第3・第4世代ピル常用の女性250万人に対して年間約1000件の割合であるという。
* 1995年にイギリスで起きた"pill scare"(ピルの脅威)現象。開発されたての第3世代ピルへの不信からピル服用率が下がり人工妊娠中絶が急増した。フランスでも"panique à la pilule"と呼ばれ、中絶の増加傾向が見られた。
このように、提訴により製薬会社とともに槍玉に挙げられた政府当局がビビッて、正月早々性急な発表を重ね、もともと「経口避妊薬 命!」の傾向にあるフランス医療界、団体等がこぞって反撃した、という形だ。
避妊率の低下はもちろん阻止するべきである。私の尊敬するニザン教授の言うことは最もである。それは大前提として、この際、他の効果的な避妊方法についてもっと話し合われたらいいなぁ、と個人的には思う。
ピルの副作用も、望まない妊娠・中絶よりは「まし」ということは充分理解できるけど、毎日服用する煩わしさに加え、医薬品として不安が付きまとう、という要素も無視できないと思う。
じゃ、何が?と言われても確かに限られてくるが、子宮内に装着するIUD(仏語ではDIU、俗にstérilet と呼ばれる)などは、実際には未経産婦(nullipare)にも問題ないという専門家も多く、もう少し普及する余地があるのでは、などと感じる今日この頃である。
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第3世代ピル、3月より払戻しに終止符(2013年1月4日)
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Friday, January 4, 2013
第3世代ピル、3月より払戻しに終止符
新年早々、経口避妊薬のニュースに動きが出ている。
(AFP1月2日付記事こちらとこちら)
重度の障害を負った女性により第3世代ピルを摘発する訴訟が起きたのが12月半ば。(ブログ記事 第3世代ピルで身体障害、訴訟へ 参照)
1月1日、フランス保健製品衛生安全庁(ANSM)長官のドミニク・マラニンキ氏(Dominique Maraninchi)が、第3・第4世代ピルは血栓塞栓症のリスクが高いとして、その処方を一部の専門家にのみ許可することを検討している、とAFPに発言。
(要は、一般科医Généralisteによる処方は第2世代ピルまで、ということ)
翌2日には、厚生大臣のマリソル・トゥーレーヌ氏が「2013年3月31日より第3世代ピルの払い戻しを終了する」と発表。と同時に、ANSMに対し「特別な理由がない限り第2世代ピルの処方が機械的に優先されるよう」要求。その理由として「第3・第4世代ピルに比べて血栓塞栓症の発症率が半分であること」を挙げている。
第3世代ピルの払戻し終了は、当初2013年9月から実行されるはずであったが、12月の裁判所への訴えが反響を呼び、動きが加速した模様。原告の弁護士団によれば、1月中にさらに30件ほど、同様の起訴が予定されているという。
France Info によると、第3世代ピルの服用者は現在150万~200万人で、フランスでピルを常用している女性のほぼ半数に当たる。
ところで、具体的にどのピルに関する話なのか?実際に服用している女性なら気になるところだろう。
2日に医療・医薬品情報サイトのdoctissimo.frがアップしたニュース記事を参考にまとめてみた。
第4世代ピルでSécurité sociale(国民保険)からの払戻しの対象となっているものはない。参考までに、代表的な商品名は Jasmine、Yaz、Jasminelle、Rimendia やConvulineなど。
第3世代ピル。
現在65%の払戻しが適用されているのは以下のふたつのみ:
Desobel ® (Effik)
Varnoline continu ® (Msd France)
この2種類が3月からの払戻し終了の対象となる。
もともと払戻しのない第3世代ピルは:
Cérazette ®(Msd France)
Mercilon ® (Msd France)
Harmonet ® (Pfizer)
Minesse ® (Pfizer)
Minulet ® (Pfizer)
Tri Minulet ® (Pfizer)
Meliane ® (Bayer)
Melodia ® (Bayer)
Moneva ® (Bayer)
Phaeva ® (Bayer)
今まで上記の第3・第4世代ピルを服用していた女性は、下記の第2世代ピルにスイッチするよう勧告を受けることになる。
第2世代ピルは、ほとんどが65%の払戻しの対象になっている。
その代表的なものは:
Stediril(Pfizer)
Leeloo Gé ® (Théramex)
Microval ® (Pfizer)
Mirena 52 mg ® (Bayer)
Minidril ® (Pfizer)
では、第3・第4世代ピルをすでに服用中の場合、どうすればよいのか?
doctissimo.fr のアドバイスによれば、いきなり中止せずその周期分のピルを必ず飲み終わってから他の避妊方法に変更すること。
また、本人や家族の既往歴のうち、血栓塞栓症や肺塞栓症、脳梗塞(脳卒中)などを問われずに現在のピルを処方されている場合は、すみやかに医師に相談すること。第3世代以降のピルは例外的にしか使用されないことになるので、第2世代ピルに変更してもらうこと、を推奨している。
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(AFP1月2日付記事こちらとこちら)
重度の障害を負った女性により第3世代ピルを摘発する訴訟が起きたのが12月半ば。(ブログ記事 第3世代ピルで身体障害、訴訟へ 参照)
1月1日、フランス保健製品衛生安全庁(ANSM)長官のドミニク・マラニンキ氏(Dominique Maraninchi)が、第3・第4世代ピルは血栓塞栓症のリスクが高いとして、その処方を一部の専門家にのみ許可することを検討している、とAFPに発言。
(要は、一般科医Généralisteによる処方は第2世代ピルまで、ということ)
翌2日には、厚生大臣のマリソル・トゥーレーヌ氏が「2013年3月31日より第3世代ピルの払い戻しを終了する」と発表。と同時に、ANSMに対し「特別な理由がない限り第2世代ピルの処方が機械的に優先されるよう」要求。その理由として「第3・第4世代ピルに比べて血栓塞栓症の発症率が半分であること」を挙げている。
第3世代ピルの払戻し終了は、当初2013年9月から実行されるはずであったが、12月の裁判所への訴えが反響を呼び、動きが加速した模様。原告の弁護士団によれば、1月中にさらに30件ほど、同様の起訴が予定されているという。
France Info によると、第3世代ピルの服用者は現在150万~200万人で、フランスでピルを常用している女性のほぼ半数に当たる。
ところで、具体的にどのピルに関する話なのか?実際に服用している女性なら気になるところだろう。
2日に医療・医薬品情報サイトのdoctissimo.frがアップしたニュース記事を参考にまとめてみた。
第4世代ピルでSécurité sociale(国民保険)からの払戻しの対象となっているものはない。参考までに、代表的な商品名は Jasmine、Yaz、Jasminelle、Rimendia やConvulineなど。
第3世代ピル。
現在65%の払戻しが適用されているのは以下のふたつのみ:
Desobel ® (Effik)
Varnoline continu ® (Msd France)
この2種類が3月からの払戻し終了の対象となる。
もともと払戻しのない第3世代ピルは:
Cérazette ®(Msd France)
Mercilon ® (Msd France)
Harmonet ® (Pfizer)
Minesse ® (Pfizer)
Minulet ® (Pfizer)
Tri Minulet ® (Pfizer)
Meliane ® (Bayer)
Melodia ® (Bayer)
Moneva ® (Bayer)
Phaeva ® (Bayer)
今まで上記の第3・第4世代ピルを服用していた女性は、下記の第2世代ピルにスイッチするよう勧告を受けることになる。
第2世代ピルは、ほとんどが65%の払戻しの対象になっている。
その代表的なものは:
Stediril(Pfizer)
Leeloo Gé ® (Théramex)
Microval ® (Pfizer)
Mirena 52 mg ® (Bayer)
Minidril ® (Pfizer)
では、第3・第4世代ピルをすでに服用中の場合、どうすればよいのか?
doctissimo.fr のアドバイスによれば、いきなり中止せずその周期分のピルを必ず飲み終わってから他の避妊方法に変更すること。
また、本人や家族の既往歴のうち、血栓塞栓症や肺塞栓症、脳梗塞(脳卒中)などを問われずに現在のピルを処方されている場合は、すみやかに医師に相談すること。第3世代以降のピルは例外的にしか使用されないことになるので、第2世代ピルに変更してもらうこと、を推奨している。
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